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主演女優賞は高畑充希「『不安だ~』って毎日泣き言を言っていました」【ドラマアカデミー賞】

2/27(木) 12:00配信

ザテレビジョン

第103回ドラマアカデミー賞で主演女優賞に輝いたのは「同期のサクラ」(日本テレビ系)の高畑充希。脚本家の遊川和彦をはじめ、「過保護のカホコ」(2017年日本テレビ系)のスタッフと再び組んだ主演作で、大手ゼネコンに入社しながら上司にもはっきり物を言い、妥協しないサクラが、同期の仲間とかけがえのない友情を育んでいく様を演じた。

【写真を見る】「非常にいい!」は平泉成の物まねだった!?

■ 初めて企画から参加した作品「オリジナルドラマって大変」

――2015年に「問題のあるレストラン」(フジテレビ系)で第84回ドラマアカデミー賞助演女優賞を受賞。主演女優賞は今回が初となります。受賞の感想を聞かせてください。

「同期のサクラ」はみんなでゼロから作ったドラマなので、私が代表として賞を頂いた気持ち。すごくうれしいなと思います。

最初に「過保護のカホコチームでもう一度、一緒にやりませんか」と声をかけてもらい、信頼しているチームなので「ぜひ」とお返事しましたが、その時点ではまだ何も決まっていませんでした。そこから、気がついたら打ち合わせに呼ばれていたという感じで、アイデアを採用してもらえたりもして。サクラのキャラクターにはとても思い入れがあります。それだけに、放送が始まって、見てくださっている方に楽しんでいただけたのが、本当にうれしかったですね。

日本テレビのスタジオで隣の部屋から小池栄子さんが出てきて「めっちゃ見てんの。毎週、泣いてんだけど」と言ってくださって感激したこともありました。

――高畑さんにとって初めて企画から参加した作品ということになりますか?

そうですね。改めて「オリジナルドラマって大変だな」と思いました。1話ごとの打ち合わせでも、みんなで気が済むまで話し合っていましたし、現場でも引っかかるところがあって撮影がストップする瞬間がありました。それは良い意味でそうなっていて、「このシーンはどういうことなんだろう」「どうすればもっと良くなるんだろう」と、スケジュールに余裕がないのに、たっぷり時間を使っちゃったりして…。

でも、10月クールだから日が落ちるのが早く、昼間のシーンは早く撮り終えなきゃいけない。キャストもスタッフさんも、最後の方はヘロヘロになっていました。私もほとんどのシーンに出ていたので、このドラマ以外は手に付かない感じの忙しい毎日でした。病室で寝ている場面だけは、セリフを覚えなくていいからうれしかったですね。一度、本気で寝てしまいました(笑)。

――その中でも最も大変だったのはどのシーンでしょうか?

やっぱり第1話が一番難しかったですね。サクラのキャラがぶっとんでいたので、それをどうやって受け入れてもらえる人にするかということに悩みました。

「私には夢があります」というサクラのセリフがありますが、現実にそんなことを急に言い出したら「えっ?」と引かれてしまいますよね。このセリフでクライマックスにできるんだろうかという恐怖があったので、「不安だ~。私で大丈夫なの」と毎日泣き言を言っていました(笑)。でも、完成した第1話を見たとき、とても新しい感覚で見られるドラマになっていたので、すごくほっとしました。

第2話からは話がどんどん展開していっていたので、とにかく初回に時間をかけていたと思います。サクラは実際にいたらびっくりするぐらい忖度(そんたく)しない人ですが、このドラマはそんな主人公が優遇されないところがリアルでよかったのかな。

■ サクラの癖は周囲にヒントが!? 「『非常にいい!』は平泉成さんの物まねをしたくて…」

――納得行かないことがあると「スゥ―ッ」と息を吸ったり、素晴らしい建築物を見かけると「非常にいい!」と言って写真を撮ったりするサクラのキャラを、どうやって作っていったのですか。

「非常にいい!」は(「過保護のカホコ」で祖父役だった)平泉成さんの物まねをしたくて、そのつもりでやっていたら、成さんが本当に出てくれて、最終回では一緒に言ってくれたので最高でした。

「スゥ―ッ」というのは南雲聖一監督の癖なんですよ。監督がそれをやると、みなさん「あ、納得していないんだな」と思うんですって(笑)。台本には「スゥ―ッ」としか書いてなくて、息を吸えばいいか吐けばいいかと、私なりにいろいろ試しました。結局、吸ったんですけど、第3話で「真顔でやると変だから、眉間にシワを寄せて」と言われたので、そこからちょっと変わっています。

――「過保護のカホコ」、「家政婦のミタ」(2011年日本テレビ系)の遊川和彦さんらしく、サクラが仕事で挫折したり心の支えだった祖父を亡くしたりした挙句、昏睡状態に陥ってしまうというハードな展開でした。

遊川さんは主人公に試練を与えてそれを解決させていくんですよね。それをドラマティックに描かれるので、サクラとしては辛いことばかりでした。特に第7話は故郷の島に橋がかからず、じいちゃんも死んじゃってと、「どんだけ辛い目にあえばいいんだっ」と思ったぐらいで(笑)。放心状態というか情緒不安定になっていました。

その後、サクラが部屋に引きこもってスマートスピーカーと会話するところも、けっこうしんどかったですね。私は鬱状態になったことはないけれど、その境界線が見えたことはあるので、「ここを超えたら鬱なんだろうな」と思いながら演じていました。

■ 最終話は「ハッピーエンドがいい、というのはずっとお願いしていました」

――同期役の橋本愛さん、新田真剣佑さん、竜星涼さん、岡山天音さんとの共演はどうでしたか?

第1話では、みんな距離感がわからない感じでしたが、その後、1話ずつ、ひとりひとりとサクラが向き合う回になっていたので、第5話が終わった時点では全員がなじんでいました。演じる役と共に距離が縮んでいった感じですね。

第3話では美しい愛ちゃん(百合役)に「ブス」と言えるのが楽しみでした(笑)。なかなか言えないセリフだし、「ぶす」という音の響きって刺さるじゃないですか。あの場面で、サクラは百合を傷つけるつもりではなく、「なんでも相談しろよ」と優しい気持ちで言っていたのだと思います。

ムードメーカーは竜星涼くんでしたが、最終話、みんなで桜の木の前に集まるシーンで、竜星くんがドヤ顔で言うセリフを何度も間違えてしまって、爆笑していた記憶があります。でも、そのおかげで緊張がほぐれました。みんなでハードな撮影を乗り越えたので、本当に仕事の仲間という感じです。

――そのラストシーンでは桜木の下に同期が集まり、またそれぞれの道を行く。そんな結末をどう思いましたか?

「ハッピーエンドがいい」というのはずっとお願いしていたので、桜の木を見ながら終わるのは美しくていいなと思いました。第1話からそこまで10年の物語をさかのぼっていったので、これでひと区切り。クランクアップの日は完走してゴールテープを切り、バタっと倒れた感じでした。「今日は寝る前にセリフを覚えなくていいんだ。やったー」って“超”解放感がありました(笑)。

――この作品を通して、高畑さんが得たものはなんでしょうか?

私たちの仕事は個人事業主のような感覚なので、組織で働く人とは考え方が違うんだなということをよく感じました。上司に言われたことは絶対であることとか、出世する方法を考えることとか、10年間の物語を通して普通の会社員の人の年の重ね方を体感できて、とても新鮮な気持ちでした。サクラは「橋の強度が足りない」と会社を告発しましたが、現実には我慢しなきゃいけないことがたくさんあるんだろうな、貫けない正義があるんだろうなとも思いました。

そして、何よりスタッフさんが私たちのモチベーションを上げてくれ、お芝居しやすい環境を作ってくださったのがすごくありがたかった。これからもこんな頼もしいスタッフさんたちとお仕事していきたいと思います。

(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)

最終更新:2/27(木) 12:00
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