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ヒトの臓器の約100万分の1に小型化された人体実験モデルが開発される

3/6(金) 18:50配信

ニューズウィーク日本版

──心臓、脳、肺、肝臓、精巣......などのオルガノイド(ミニ臓器)で構成された人体の実験モデル......

試験管内で三次元的に培養されたオルガノイド(ミニ臓器)は、実際の臓器よりも小さく、単純化されているが、実際の臓器とそっくりな解剖学的構造を持ち、神経活動や排泄、濾過など、臓器の特定の機能を再現できることから、創薬プロセスの効率化や開発リスクの軽減に役立つと期待されている。

● 動画:研究が進む人体チップ

■ 成人の臓器の約100万分の1に小型化

米ウェイクフォレスト大学再生医療研究所(WFIRM)の研究チームは、ヒトの一次細胞や幹細胞からできた三次元のオルガノイドを用いて世界で最も先進的な人体の実験モデルを開発した。一連の研究成果は、2020年2月26日、学術雑誌「バイオファブリケーション」において公開されている。

このモデルは、ヒトの主要な臓器である心臓、脳、肺、肝臓、精巣、結腸のほか、血管細胞、免疫細胞、線維芽細胞を含めた複数種のオルガノイドで構成されている。

ヒトの組織細胞のサンプルを分離してヒトの臓器のミニチュア版に改変したもので、いずれのオルガノイドも成人の臓器の約100万分の1に小型化されている。

心臓が毎分約60回拍動し、肺が周囲から空気を吸い込み、肝臓では毒素を分解するなど、人体と同じ機能を果たし、実験室環境下で人体の一部の機能を再現できるのが特徴だ。

■ 医薬品の毒性を測定することにも成功

このモデルは、医薬品の毒性評価や副作用の発見に役立つプラットフォームとしての活用が見込まれている。アメリカ食品医薬品局(FDA)によってリコール(自主回収)された医薬品の毒性を測定することにも成功した。

標準的な二次元細胞培養システムや動物実験モデルでは毒性が見つからず、3段階のヒト臨床試験でも副作用が検知されなかった医薬品について、このモデルでは、その毒性を検知し、ヒトで認められる副作用も再現できたという。

研究論文の責任著者でウェイクフォレスト大学再生医療研究所の泌尿器科医アンソニー・アタラ博士は、このモデルの最も重要な有用性について「創薬初期段階でその医薬品にヒトへの毒性がないかどうか確認でき、患者一人一人に合わせた医薬品の『パーソナライズ(個別化)』にも活用できる可能性がある」と指摘し、「創薬や治療プロセスの初期段階で問題のある医薬品を取り除くことで、多くの人々の生命を救い、コストの節約にも寄与するだろう」と述べている。

松岡由希子

最終更新:3/6(金) 19:03
ニューズウィーク日本版

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