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8割の顧客が“否定”するRAV4

3/7(土) 7:00配信

日経ビジネス

 みなさまごきげんよう。

 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。

【関連画像】トヨタ自動車 Mid-size Vehicle Company MSZデザイン領域統括部長、佐伯禎一さんと、筆者フェルディナント・ヤマグチ

 この週末もMST(港区スキーチーム)の仲間とスキーに行ってまいりました。

 今回は“ Audi FIS アルペンスキーワールドカップ2020 にいがた湯沢苗場大会”の観戦を兼ね、苗場へ突撃です。

 今回のワールドカップ。22日土曜日は男子大回転。翌日曜日には男子回転(SL)が開催される予定でした。

 土曜日は朝から快晴で、競技も順調に進行していたのですが、翌日がいけなかった。大雪による視界不良と地吹雪を起こすような強風により昼すぎに中止が決定してしまったのです。

 残念無念。早朝から夜中まで準備に奔走されていたスタッフ諸公の心労やいかばかりか……。

 それにしてもトッププロの滑りというのはエラいものです。速いし正確だし何よりも力強い。こんな滑りが目の前で見られるのだから最高です。

 今回のツアーの白眉は、天才佐々木明選手と一緒にフリー滑走したことでしょうか。「賢太郎さんはテレビの解説があるので、僕が代理で」と朝イチのファーストトラックにお付き合いいただいたのです。

 この人、本当にキレているんですよ。大斜面の半分くらいまで棒立ちの状態で直滑降。おもむろに手を付いて急角度のカーヴィング。ポンとジャンプして180度回転して、今度は超高速で後ろ向きのカーヴィング。まったく付いていけない。現役時代から型破りな滑りで「叱られてばかりでした」と笑っていますが、今やこの麒麟児が全日本スキー連盟のアルペン競技アドバイザーで、若手選手の育成に当たっているのですからね。日本競技スキーの未来は明るいです。

 ということで本編へとまいりましょう。

 今回はトヨタRAV4の開発責任者、佐伯禎一さんのインタビューです。

 ジュネーブモーターショーにおいて、プラグインハイブリッド(PHV)の欧州仕様車を初公開すると発表し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進するトヨタの金看板RAV4(ところがなんと本稿出稿後にジュネーブモーターショーは開催中止が決定してしまった。コロナめ……)。

 RAV4は、どんな人がどのような思いで造ったクルマなのか。開発主査にお話を伺った。

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):はじめまして。フェルディナント・ヤマグチと申します。今日はよろしくお願いします。

佐伯 禎一 トヨタ自動車 Mid-size Vehicle Company MSZデザイン領域統括部長(以下、佐):こちらこそよろしくお願いしいます。今日はマスクの下の素顔を拝見できるということで、楽しみにしていたんです(笑)。

F:ショボい顔でスミマセン(笑)。四駆の方式が3種類あるとか、シティ風からクロカン風に様変わりしたとか、車両に関わるインタビューは飽きるほど受けておられるでしょうから、今日は別の角度から話を伺いたいと思います。

佐:どうぞ。なんなりと。

F:実は今回のインタビューに先立ちまして、御社の有田くんからアドバイスをいただいているんです。

佐:おぉ。有田啓介。少し前までこちらでRAV4の車担広報という形でやってもらっていました。気持ちのいい男ですよ彼は。今は東京に転勤してね。

F:はい。その有田くんが、「佐伯さんに会うなら、チームの話を聞くと面白いですよ」と言ってくれて。

佐:彼はそう言っていましたか。うん、そう。僕はチームを大事にしたいと思っています。チームチームといったって、開発をやっていると、どうしてもエンジニアが中心になってしまいがちです。メーカーはどこもそうです。エンジニアが幅を利かせて中心になって、マーケティングとか営業の意見を軽視しちゃう。それじゃイカンだろうと。彼らの意見とアイデアをキッチリ汲んで製品に生かす。そして製品を商品に、売り物に変える。

F:製品と商品は違うんですか。

佐:違いますね。

F:違う?

●製品と商品はどこが違うのか

佐:違う。明確に違う。製品は我々ものづくりの世界。一方で商品は「お客さん目線」です。製品って図面で語るんですよ。1ミリ長いとか短いとか。エンジンの馬力がどうとか燃費がどうとか。そんなの所詮は数字です。お客様に対して数字で語っても、何じゃそれ? って話じゃないですか。こっちのほうが2馬力上ですとか、ロールがどうしたとか、Gがこうしたとか。そんなことアレコレ並べたってね、お客様に響かない。エンジニアの自己満足ですよ。

F:それをエンジニア自らが言うのはすごいですが、確かに人間は計測器じゃありませんからね(笑)。

佐:そうそうそうそう。そうなんですよ(笑)。ウチの社長が、いつも「いいクルマを作ろう」と言っていますが、“もっといいクルマづくり”というのは、最終的にお客様に“どう感じていただけるか”に尽きると思うので。トヨタのエンジニアが講演会か何かで難しい話を1時間しゃべったところで、お客様からすれば、「ところであの人は何を話していたんだっけ……?」なんてことはいっぱいあるんです。マーケットは白を望んでいるのに、僕らがいくら黒がいいです、黒が最先端です、これからのクルマは黒になるべきですって言ったってね、詮無いことでしょう。どれだけ工業製品を立派に語っても、お客様は振り向いてくれませんよ。

F:他社の話を引き合いに出すのもアレなんですが、マツダが勝負をかけてきたMazda3。

佐:はい。

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最終更新:3/7(土) 7:00
日経ビジネス

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