ここから本文です

米政権、武漢ウイルスと明言

3/11(水) 11:53配信

Japan In-depth

【まとめ】

・アメリカでは「武漢ウイルス」という呼称が定着。

・中国当局はウイルスの発生源が武漢だと確定していないと反発。

・米政権は中国当局の情報隠蔽が感染拡大に繋がったという認識を崩さず。

いまや日本全体を恐怖と苦痛に陥れた中国発の新型コロナウイルスをどう呼ぶべきか。

アメリカではトランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官が「これは武漢ウイルスだ」と改めて断言した。アメリカの専門家やメディアでも「武漢コロナウイルス」という呼称が広まってきた。

だが中国政府はこの種の呼称に断固として反対する。このウイルス感染症を中国と直接に連結されることを嫌がるわけだ。この呼称をめぐる論議はいま全世界を悩ますウイルス感染症の本質にもかかわる重要な争点だといえよう。

新型コロナウイルス感染症はアメリカのメディアの多くではなお「COVID-19」と呼ばれている。Coronavirus(コロナウイルス)とDisease(病気)という言葉の文字の一部を取り、発生年次の2019年の数字をつけた名称で世界保健機関(WHO)が先導した。

同じ新型コロナウイルスのウイルス自体は厳密には感染症とは別の名称で、「SARS-CoV-2」と呼ばれる。この名称はアメリカの一般メディアで使われることは少ない。SARSはsevere acute respiratory syndromeの頭文字を取った略で、日本語では「重症急性呼吸器症候群」である。

SARSは2003年に中国南部の広東省を起源とした重症な呼吸器障害で世界に広がった。その原因となったコロナウイルスがSARS-CoVと呼ばれたので、今回はその第2型とされたという。いずれにしてもアメリカ全般ではいまはウイルスとその感染症を含めてCOVID-19と呼ばれることが多いわけだ。だがそのウイルスも感染症も正確な実態はわかっていない。

ところがポンペオ国務長官はトランプ政権を代表する形で3月6日のワシントンでのテレビ・インタビューで中国側がこのウイルス感染症の起源を曖昧にし始めたことに対する反論として「これはまさに武漢コロナウイルスだ」と述べた。

同長官はその以前にも公式の発言のなかで、今回のコロナウイルスを「武漢コロナウイルス」と何度も呼んできた。6日の発言はその繰り返しであるとともに、中国外務省の報道官が3月4日に「このウイルスの発生源がどこであるかについてはまだ結論は出ていない」と述べたことへの米側としての公式の反論だった。

中国外務省報道官は「このウイルスの発生起源についてはなお調査が進行中だ」と述べるとともに、「このウイルスを中国ウイルスとか武漢ウイルスと呼ぶことは証拠もなしに中国に発生の責任を負わせようとする不当な動機に基づいている」とも言明した。

これに対してポンペオ長官は「ウイルス対策で中国共産党の基礎データの扱いをみて、ともに協力しようとすると、信じられないほどのフラストレーションに襲われる」と述べ、さらに「中国共産党政権自身がこのウイルスは中国の武漢市で発生したと明言しているのだ」と強調した。

中国側では共産党政権による武漢市全体の隔離など、ウイルス拡散防止の対策は大胆な方法をとったことに対して王毅外相は「この中国的な対応のシステムこそ、その速度、規模、効率において中国独自の長所を証明した」とも語っていた。

しかしアメリカ側では習近平政権が武漢での集団感染が明白になった後もその事実を隠蔽し、感染を公表した現地の医師に沈黙を強いて、懲罰まで加えたことが感染を早めたという認識が一致している。

ポンペオ長官のコロナウイルスへの「武漢コロナウイルス」という呼称はこうした状況下であくまで中国当局の責任や武漢での発生の事実を明確にするための表現方法だといえる。

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

最終更新:3/11(水) 11:53
Japan In-depth

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ