新型コロナウイルスに感染して肺炎を起こした3人の患者に、喘息治療に広く用いられている吸入ステロイド薬のシクレソニド(商品名:オルベスコ)を投与して症状の改善が見られたという報告が、2020年3月2日付で日本感染症学会のWebサイトに掲載されました(*1)。
●感染研の情報を受けて、重症化リスクがあった肺炎患者に投与を開始
報告を行ったのは、神奈川県立足柄上病院総合診療科 ICD・感染管理室長補佐の岩渕敬介氏らです。同院には2020年2月28日までに、ダイヤモンドプリンセス号に乗船していた新型コロナウイルス感染者8人が入院。このうち2人は無症状のまま陰性化して退院、3人は重症化したため高次医療機関へ転院しました。残る3人(73歳女性、78歳男性、67歳女性)についても、CTで肺炎像が認められ、酸素化が不良(酸素が血液に十分に取り込まれない状態)で2人は人工呼吸器管理を必要とするなど、重症化リスクがあったため、2月20日からオルベスコの吸入を開始しました。
オルベスコは喘息治療に広く用いられている吸入ステロイド薬ですが、新型コロナウイルスに対して強い抗ウイルス活性を持つことが国立感染症研究所の研究で明らかになり、2月19日に行われた「新型コロナウイルス感染症への対応に関する緊急拡大対策会議」で報告されていました。今回のオルベスコ投与は、この情報提供を受けて直ちに開始されたものです。
3人の患者のうち73歳女性は、2月11日に入院。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症の治療薬ロピナビル・リトナビル(商品名カレトラ)を投与していったんは回復傾向が見られたものの、同薬の有害事象と考えられる食欲不振や下痢、肝機能数値の悪化などが現れたため、投与を中止。CTの肺炎像も悪化したため、2月20日にオルベスコの吸入を開始しました。
*1 岩渕敬介ほか。 COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例。 (2020年3月2日、日本感染症学会Webサイトに公開)
http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200302_02.pdf
最終更新:3/31(火) 11:33
日経グッデイ































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