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近視に「眼内レンズ」、若者が注目 手術の安全性高く

3/14(土) 7:47配信

NIKKEI STYLE

強い近視を矯正する治療法の一つとして、レンズを目の中に入れる眼内コンタクトレンズ(ICL)が若い世代を中心に浸透してきた。手術で一度入れたら取り外す必要がないのが最大の特徴。まるで裸眼の視力が上がったような感覚になるという。角膜を削るレーシックより安全性が高いという報告も相次ぐ。ただ、比較的高額のほか、手元のピントが合わせにくい人もいるなど課題もわかってきた。医師とじっくりと話して選択しよう。

「知人が使い始めてICLに興味を持った」。2月中旬、聖路加国際病院(東京・中央)に相談に訪れた20代の会社経営の男性はこう話す。強度の近視で、コンタクトレンズが欠かせないが、毎日の取り外しが煩わしく、目の乾きなどが気になるという。ICLを入れるために必要な条件である角膜の細胞の量などの検査を受けた。春にも手術を受けることに決めた。
新たな近視矯正技術として生まれたICL。レンズが承認を得た2010年から約10年がたち、国内の治療件数が増えて効果もはっきりみえてきた。
ICLは、角膜の一部を3ミリメートルほど切開して水晶体に載せることで矯正するコンタクトレンズだ。おわん状の四隅に、ツメのようなものがついている。虹彩の裏と水晶体の間に収納し、安定させる。手術は、点眼麻酔で実施。角膜の一部を切開してレンズを入れるが、両眼で20~30分程度で終わる。日帰り手術で実施し、直後は見えずらいこともあるが、遅くとも翌日には見えるようになり、通常の生活ができる。当面は定期検査が必要だが、レンズの入れ替えや、点眼などの手入れは不要だ。

■視力1.2以上保つ

手術後数年間の患者の調査を実施した山王病院(東京・港)などの成績では、手術後5年以降もレンズを装着した視力は平均で1.2以上に保たれた。
最近、ICLが普及している理由の一つが、安全性の高さだ。近視矯正の手術では2000年代にレーシックが急速に普及したが、角膜を削る必要がある。削り方によっては見え方が悪くなったり、ドライアイを起こしやすかったりすることがある。角膜は再生しないため、一度削るとやり直しはきかない。ICLではこうした問題は起こらない上、何か問題があったらレンズを入れ替えたり、取り除いたりもできる。
今、普及している日本で開発されたタイプのICLは真ん中に0.36ミリメートルほどの穴があいている。当初は穴がなく、角膜のなかを満たす水の循環を妨げるため、高齢になったときに、緑内障や白内障が起こりやすいとされていた。
新タイプを開発した山王病院アイセンターの清水公也センター長は、「視力は高く保持される。炎症を起こすということは今のところほとんどない」と話す。日本以外でも普及が進み、現在は77カ国で認可されている。
さらに、若年者の近視治療の一環としても注目され始めている。16年から診療を行ってきた東京医科歯科大学は19年に先端近視センターを設立し、小児や若年者の近視治療に力を入れている。大野京子センター長は「成長に伴って度が進みがちな10代はICLの使用は対象外」と指摘するが、「20~30代などの若い人は恩恵を受ける期間が長いので興味を抱きやすいのではないか」と話す。

実際、手術を受けにくるのは比較的若い世代が多いという。国内で最もICLの手術数が多い山王病院で実施した1542件のうち30代が最も多く40%。20代が31%、40代19%、50代9%と続く。

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最終更新:3/14(土) 19:15
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