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電通、博報堂、ADKの相次ぐ組織再編や新展開の意味するものは何か

3/14(土) 19:25配信

創

組織大再編によって電通は何をめざすのか

〔はじめに〕以下に掲載するのは月刊『創』(つくる)2020年4月号「広告界の徹底研究」の中の電通、博報堂、ADKという広告界大手3社の現状レポートの一部をまとめたものだ。
 大広もそうだが、広告界でこの1~2年、大幅な組織再編や業態の変容が進んでいる。それは広告というビジネスのあり方そのものが変わりつつあることの反映なのだが、いったい何が起きているのか、大手3社の事例を報告しよう。     (編集部)


 電通は2020年1月1日、大きな組織再編を行った。これまで多くの国内外グループ会社の親会社として、また事業会社としての機能を持っていた電通だが、今回の再編で親会社機能を商号変更後の株式会社電通グループに移行させた。同社は純粋持株会社として誕生したが、ホールディングスという一般的な名称は資本の論理で統治するというイメージがあるので、社名にはホールディングスという言葉は使わなかったという。むしろ電通グループとすることで、グループ全体を下支えし、グループ全体のチーム力向上につなげていくことを企図したのだという。
 そして、電通の事業機能は新しく発足した株式会社電通に継承された。新しい電通は、今回の再編で、他の国内グループ会社と同様に、国内事業会社のひとつとなった。また130社ほどあるという国内事業会社を統括、支援する電通ジャパンネットワークを、株式会社電通グループの社内カンパニーとして発足させている。
 一方、900社ほどの海外グループ会社を束ねるのは、これまでと同じ電通イージス・ネットワークだ。同社は2013年に電通が買収した英国の広告会社、イージス・グループの商号を変更し発足したものである。現在では傘下のグループ会社を10のブランドに集約し、クライアントや社会の課題に合わせ、それらを有機的に結びつけている。

 こうした新体制が発表されたのは昨年11月のことだが、3月開催の定時株主総会で承認されれば、その後の取締役会を経て、新たに3名の代表取締役が誕生する。うち1名は現在も取締役を務める外国人である。電通はこれまでもグループ&グローバルを標榜してきたが、今回の新体制はそれをさらに加速させることになるだろう。
 電通から電通グループへ出向し、広報を担当している河南周作エグゼクティブ・ディレクターに聞いた。
「新しい電通グループは何をめざすのか。一言で言えば、世界中で働く6万人以上の社員が、オープンに国や組織を超えてつながり合い、次々とイノベーションを生み出すことで、企業や社会に新しい価値をもたらしていく、ということです。多様な人材が有機的に結びつき、それぞれの知見や専門性を存分に発揮できれば、新しいソリューションや価値の創造につながっていくと期待しています。
 持株会社はそれを促進する役割、つまり『チーミング・カンパニー』としての役割を果たします。1社ではやれなかったことをグループ全体としてやっていくということです。社内では持株会社のことを略称で『TC』と呼んでいます」

 グループ全体の再編が進むことで目に見える変化も出てきたという。
「ひとつ目につくのは、外国人の名前が目立つようになったことです。TCの執行役員14人のうち5人が外国人になりましたし、各業務ファンクションの管理職も、全て日本人と外国人が共同で担うという体制になりました」
 この大きな組織再編は、まだ1月に実施されたばかり。今後もいろいろと変更が加えられていくのであろう。
 こうした組織再編は、このところ広告業界で活発に行われている。ADKも昨年1月にホールディングス制に移行し、3つに分社化された。また博報堂DYグループの大広も、昨年、社屋移転と組織再編を行っている。こうした動きの背景には、広告会社の業態が大きく変容しつつあるという事情がある。メディアの枠を売買して手数料を稼ぐという従来の広告ビジネスモデルでは広告会社はやっていけなくなるという認識は、広告業界全体に広がっている。
 電通においても、従来型の広告事業を超えた新しい事業が生まれてきている。

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最終更新:3/18(水) 21:45

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