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多様性の実現がゴールではない!イノベーションと企業価値につなげる

3/16(月) 7:34配信

日本の人事部

近年、ダイバーシティに注力する企業が増えている。多様性を生かし、成長する組織へと変革するためには、制度の構築と併せて、社員の意識改革や組織の風土改革が重要だ。本セッションは日本生命保険、日本ユニシスの事例をもとに、法政大学・松浦氏による司会進行の下、ダイバーシティによって「企業価値の向上」や「イノベーション」を実現するためのマネジメントについて議論した。

「同質性のマネジメント」からダイバーシティ・マネジメントへ

まず法政大学の松浦氏が、日本企業のダイバーシティ・マネジメントの課題について解説した。

日本で最初の「ダイバーシティ」に関する提言は、2002年に日経連(当時)の研究会が出した報告書「原点回帰―ダイバーシティ・マネジメントの方向性」。この中に「ダイバーシティの本質は『異質・多様』を受け入れること、違いを認め合うこと」とある。つまり、『異質・多様』な人材が多く雇用されていても、集団の中での違いを認めず活躍を十分に支援できていなければ、ダイバーシティ・マネジメントがうまくいっているとはいえない。しかし、報告書発表から20年が経とうかという現在も、マネジメントスタイルの基本は当時とあまり変わっていない。

その要因は、高度経済成長期に確立した「日本型雇用システム」の成功体験にある。そのマネジメントスタイルは、男性正社員を「働き方に制約がない同質的な集団」とみなして中核的人材として活用する「同質性のマネジメント」。これが社会に深く根付き、ダイバーシティ・マネジメントの足かせとなっていると松浦氏はいう。

「その表裏として、多くの女性は非正規社員や一般職として位置付けられ、家庭の主婦としての役割をおろそかにしない範囲で働くことが期待される時代が長く続きました。その結果、女性活躍推進も先進諸国の中で大きく立ち遅れることになりました」

しかし、ここにきて「同質性のマネジメント」は限界を迎えている。人口減少社会、先端的な競争市場で生き残るには、多様な視点や変革マインドが不可欠だ。では、どのようにダイバーシティ・マネジメントへ変換していけばいいのだろうか。

「まず重要なのは、多様な人材を締め出さないことです。社員を同質な存在とみなしてつくられた人事制度やワークルールを見直すときにきています。また、ダイバーシティ・マネジメントを推進する人事部自身も、多様かつ柔軟な組織に変わらなくてはいけません」

松浦氏は日本企業のダイバーシティ・マネジメントの進め方にも警鐘を鳴らした。日本企業は女性活躍推進や男性の育児休業取得など、「一点集中型」の施策を取ることが多いが、対象者と他の社員の間に必ず対立構造を生む。過渡期には有効な手法かもしれないが、目標や期限を決め、いずれは終えることが望ましい。なぜなら、本来ダイバーシティ・マネジメントで大事なのは、特定の層への支援だけではなく、むしろ多様な人材の活躍のための共通基盤の整備だからだという。

「ダイバーシティを企業価値の向上やイノベーションにつなげていく共通基盤としては、例えば『経営理念・組織文化の浸透』や『中長期的な成果・パフォーマンス評価』が挙げられます。また、イノベーションを起こすという観点からは、ボトムアップで出てきたアイデアをつぶさず支援する風土の醸成や、あえて空気を読まずにモノを言える従業員の育成も大切です」

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最終更新:3/16(月) 7:34
日本の人事部

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