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新型コロナで視聴者の不安を煽るワイドショー「コメンテーター」の罪

3/18(水) 7:01配信

現代ビジネス

確たる証拠も示さず

 報道番組もワイドショーも新型コロナウイルス感染症に関するニュース一色だ。「対応が後手だった」「なぜ検査しない」などと、政府を徹底批判し続けている番組もいくつかある。とはいえ、ここで素朴な疑問が湧く。正義の味方のごとく振る舞う報道番組とワイドショーは、正しかったのだろうか? 
 報道番組のコメンテーターの中には、危機感が高まるばかりだった3月8日(日)の時点で、「致死率はインフルエンザより少し上くらいでしょう」と、語る人がいた。それまでにも「インフルエンザ並み(の怖さ)」との発言をしていた人が少なくない。

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 同じ8日、別の報道番組では、「ライブハウス(での感染)が報道されているが、これは経路が辿りやすかっただけ」と、断じるコメンテーターもいた。政府の専門家会議、在野の専門家たちとは明らかに異なる意見だった。

 視聴者を怖がらせないための発言とは思えなかった。専門医や研究者ではないコメンテーターたちが、確たる根拠も示さず、分からないことだらけの新型コロナウイルス感染症について論じるのは危うい行為だろう。

 新型コロナウイルス感染症を楽観視するようなコメンテーターの声もある中、3月9日(月)から東京株式市場の大暴落が始まった。3月13日(金)までの僅か5日間で日経平均株価は3300円も下落。コメンテーターたちの言葉に油断し、株を売り損ねた人もいただろう。

 「私は株をやらないから関係ない」と言う人も多いだろうが、株価は老後資金の確定拠出年金にも影響をおよぼす。コメンテーターの言葉によって警戒心が緩み、確定拠出年金のスイッチング(株から金などへ運用商品を切り替えたり、割合を変更したりすること)が遅れた人もいたのではないか。

想像力の欠如

 専門家の意見は早い時期から違ったのだ。WHO重症インフルエンザガイドライン委員で慶應義塾大学医学部客員教授、神奈川県警友会けいゆう病院感染制御センターセンター長の菅谷憲夫氏は、2月18日更新の『Web医事新報』(日本医事新報社)にこう書いている。菅谷氏は感染学の権威であり、同ウエブは医学関係者の信頼が厚い。

 【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症はSARSに類似(2)インフルエンザに比べはるかに重い疾患」菅谷憲夫
 新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は国内での流行も危惧される状況になった。国内での人から人への感染が進行しているにもかかわらず、日本政府が中国からの入国を禁止しなかったことは、COVID-19の感染性、重症度を過小評価した重大な失策と考えられる。すでに水際対策の段階は越えて、日本各地にウイルスが蔓延している可能性がある。
日本のマスコミが一貫して、重症度は低いと報道してきたことも、わが国の対策の遅れに影響したと考えられる。国内初のCOVID-19死亡例が報告された2月13日以後も、依然としてマスコミで流れているのは、COVID-19は季節性インフルエンザ程度の感染症であり、恐れることはないという論調である。これは明らかな誤りである。
常識で考えても、季節性インフルエンザ程度の死亡率、重症度の疾患であれば、世界保健機関(WHO)が非常事態宣言をすることはないし、中国が莫大な経済的損失にもかかわらず、大規模な都市封鎖を実施するわけがない=以下略=
(2月18日更新『Web医事新報』より)

 「インフルエンザ並み」と論じていたコメンテーターは想像力すら欠いていたことになってしまう。いまだインフルエンザ並みという口ぶりの人もいるが、それなら、どうして世界同時株安が起こり、東京五輪の中止や延期が取りざたされているのか? 視聴者に向かって分かりやすく筋道を立てて解説すべきだろう。それこそコメンテーターの役割に違いない。

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最終更新:3/18(水) 17:40
現代ビジネス

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