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新型コロナで意気消沈するレストランを勇気づけた“水曜の夜の男”のダンディズム

3/20(金) 7:00配信

クーリエ・ジャポン

英語には、「when the going gets tough, the tough get going.」という言い回しがある。これは、苦しい状況に追い込まれたときほど、力を持つ者が行動を起こすという意味だ。

新型コロナウイルスの世界的な大流行を受け、アメリカは、最大500億ドル(約5兆円)の財政出動を可能にする国家非常事態を宣言した。そのほか、50人以上の人が集まるイベントの開催を今後8週間は見合わせるよう疾病対策センターからも勧告が出るなど、感染者がこれ以上増えないよう、徹底した対策を講じている。

先週末、オハイオ州のマイク・デウィン知事は、コロナウイルス感染拡大を食い止めるため、州の飲食店に対し、当面の間はテイクアウトかデリバリーのみの営業にするよう勧告。頭では致しかたない判断と理解できても、飲食店のオーナーやスタッフが受ける経済的なダメージは少なくない。

知事からの発表があった日曜の夜、オハイオ州コロンバスにあるレストラン「コーチズ・バー・アンド・グリル」では、ある男性客が食事を楽しんでいた。会計を済ませた男性が店を出ると、明細を見たスタッフが驚いてほかのスタッフ、そしてオーナーのベニー・レナードをすぐに呼んだ。

そこには、29.75ドル(約3200円)の飲食代に加えて、チップの欄に2500ドル(約27万円)という数字が。男性からの書き置きもあり、その日の夜に働いていたスタッフの名前が書かれ、「彼らで分け合ってもらいたい」と書かれていた。

このチップを受け取ったスタッフは、先行きが不安でたまらなかった気持ちが和らぎ、男性の行為に涙を流して喜んだ。そして店のソーシャルメディアを通して、この話が伝えられ、アメリカのメディアからも問い合わせがあった。
「NBC News」の電話インタビューに応じたレナードによれば、その中年男性は毎週水曜の夜に現れる常連で、今回の善意がメディアに伝えられた後も、男性は「匿名」を希望したという。

この男性は、その日の夜にいたスタッフで分けるようメモに残したが、指名されたスタッフたちは、13人の従業員全員と均等に分配したいとレナードに申し出た。

25年間も店を経営してきたレナードは、今回の出来事がこれまでで最も記憶に残る1日になったと言う。

「悪い1日だったのに、それを彼が変えてくれたのです」

男性からの2500ドルですべての問題が解決するわけではない。それでも、人は苦しい時ほど前向きな方が活路を見いだせる。男性が水曜の夜に食事をしに来る場所を守り続けるためにも、コーチズ・バー・アンド・グリルは、一枚岩になってこの難局に挑む。

COURRiER Japon

最終更新:3/20(金) 7:00
クーリエ・ジャポン

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