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【法律相談】相続で発覚した共有不動産を現金化する方法

3/20(金) 16:00配信

NEWS ポストセブン

 相続というものは、想像もしなかったトラブルが生じるもの。与り知らない共有不動産の存在が発覚した場合、現金化するにはどうすればよいのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 父の死後、遺書に私の知らない一軒家の不動産が記されていました。購入の背景がわからず、さらに困惑しているのが、その一軒家が共有不動産であり、もうひとりの共有者に連絡が取れないこと。私は売却したいのですが、共有者が行方不明の場合、この先のスムーズな手続きの進め方を教えてください。

【回答】
 共有物の処分は、共有者全員の同意が得られないとできません。共有物を単独の所有にすれば売却も可能ですが、共有の経過がわからないので、単独所有を主張する根拠も見当たりません。もっとも、共有と知らずに自分のものだと思い、不動産を使用していれば、相続を機会に自分の所有との意思で占有を開始したことになり、20年間で時効取得する可能性があります。しかし、ご質問の例では相続したばかりですから無理です。

 ただし、共有者は合意で制限しない限り、いつでも共有相手に共有物を分割することを請求でき、協議が整わないときには、裁判所に共有物を分割するよう申立てができます(共有物分割の訴え)。

 相手が行方不明でも、裁判提起は可能です。裁判提起には被告の住所は必須の要件ですが、どうしても所在がわからない場合に備え、公示送達という制度があります。これは裁判所が納得する十分な調査を尽くしても所在がわからない場合、裁判所の掲示板に訴状と呼出状を掲示し、送達があったものと見なす制度となります。

 いわゆる欠席判決とは違い、原告は権利の根拠を証拠で立証する必要があります。この点、共有物分割請求は共有関係の証明だけで足り、それは通常登記から事実上推定されます。分割の方法としては、現物を共有持分の割合で分ける現物分割が原則です。

 狭隘地(きょうあいち)など現物分割で分けては価値がなくなる場合や一棟の建物で分割できないときは、裁判所の競売により共有物を売却して、その代金を持分で分ける方法がとられます。また、持分が小さい共有者がいる場合には、大半の持分を持つ共有者が全部取得して、代償金を支払う分割方法もあります。ともあれ、公示送達の申立てができるような調査が必要です。弁護士に相談するのがよいでしょう。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年3月27日号

最終更新:3/20(金) 16:39
NEWS ポストセブン

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