ここから本文です

朝日新聞社でさらに進む「統合編集」体制の強化

3/21(土) 15:45配信

創

2019年の紙面改革とワークフローの見直し

 朝日新聞が、紙とデジタルの編集部門を統合させるという「統合編集局」の体制づくりに取り組み始めたのは2016年だった。2018年春には編集局内に戦略・次世代・企画報道の3チームが設けられ、同年11月には8つの施策が掲げられた。デジタル政策推進体制が本格的に動き出したのだった。
 そしてこの1年、それがどう進んでいるのか。佐古浩敏ゼネラルエディター(GE)兼東京本社編集局長に話を聞いた。
「2019年4月に紙面改革を行い、デジタルファーストという方針のもとに夕刊と朝刊の見直しを行いました。朝刊については速報性だけでなくニュースを深掘りしたり、解説したりする機能を高め、一方夕刊はカジュアルにニュースに接してもらおうということで一面を写真やビジュアルを重視したカバーニュースでつくることにしました。 
 同時に午前帯の読者をどう意識するかという観点から、10月にはワークフローを見直す改革を実施しました。
 今、朝日新聞デジタルには、我々がトップ8本と呼んでいるメインのニュースボックスがあるのですが、そこにどういうニュースを投入すれば書き手と読み手のつながりをきちんと結んでいくことができるのか。新しい読者を獲得するとともに、読んで良かった、役に立ったという読者満足度の高いコンテンツを安定的に出していくことをめざして毎日午後3時15分頃から『前日ミーティング』というのを始めました。
 それ以前からやっている昼のデスク会というのが2時半から30分ほどあるのですが、休憩をはさんで、その後に再び4本社をテレビでつないで、前日ミーティングを行います。司会は、翌日の早番編集長が務めるのですが、翌日にどういうニュースがあるのか、生ニュースがない場合はどういうものが用意できるのか検討するのです。
 そして同時に、早番編集長の着席時間を早め、朝6時半にしました。朝8時とか9時から関与するのでは、デジタルが読まれる朝の通勤時間が終わってしまうので、早朝からニュースの選択に編集長も関与するようにしたのです。デジタルの読者にはその日のニュースの項目を示した『ニュースレター』を毎日配信するのですが、編集長が関与しながら、デジタルを中心にニュース発信を考えていく。それまでは1呼吸遅れていたのを、3呼吸くらい早めようということです」
 ちょうど話をうかがった時間に、前日ミーティングを終えたところだという佐野哲夫東京本社編集局長代理が、こう補足してくれた。
「明日は何で勝負するかという話をしたのですが、イギリス王室のヘンリー王子の離脱問題をやれないかと提案しました。放っておくと情報発信が遅れてしまいますが、ワイドショーも取り上げているし、日本の皇室と比べるなど今から取材を進め、もっと早い時間に出していこうと」
 そうした改革の目的を佐古GEがさらにこう説明する。
「大きな目的は、読者を意識して、ニュースの旬が失われないうちにコンテンツをどう届けるかということです。中身についても読者の関心にどう応えていくか考える必要があります」
 そのためにデスク会の冒頭に、ネットのトレンドをウォッチングしているソーシャルメディアエディターから簡単な報告をしてもらっているという。その報告に使っているモニターの画面を木村円プランニングディレクターに実際に見せてもらった。細かいデータが画面いっぱいに広がる。
「ツイッターで読まれている話題や、どんなニュースが拡散されているか、人々がどんなキーワードに関心を持っているかをデータ化して、4本社を結んだモニターに映し、デスク全員で共有してもらいます。最新の世の中の関心はどこにあるのか、それを知ってもらったうえでデスク会に入るのです」
 佐古GEがさらにこう続ける。
「従来は、紙の新聞の習い性から、いくつもの記事を盛り付けたパッケージ媒体としての朝刊や夕刊ができればあとは配達網を通じて読者に届けられるということで、1本1本の記事や企画がどういう読まれ方をするのかは、あまり意識されていませんでした。でも、これからはそこをいっそう積極的に考えていかないといけない。コンテンツの素材の強さだけでなく、紙とデジタルでそれをどういう形でどんなふうに出していくか。紙だけの時代と違い、表現方法も含めて考えなければいけないと思っています」
 佐野編集局長代理もこう補足した。
「紙とデジタルで読者の裾野をどう広げていくのか。私たちはコンテンツ力を“高める”ことと“拡散する”ことと言っていますが、その両面が必要なのですね。拡散とはSNSだけでなく、先ほど話が出たニュースレターやイべント、講演会などを通じて広げていく。もうひとつの高めるというのは、ニュースをただ受け流すのでなく、コンテンツを作る機能をどう高め、動画や写真、あるいはテキストでどう付加価値を付けて見せていくのか。その付加価値を付けたテキストとして2019年7月に始めたのが『プレミアムA』です」

1/6ページ

最終更新:3/21(土) 15:45

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事