毎日新聞社はこの何年か、「過去になかった大改革」と呼んでいる、紙とデジタルの統合編集体制への移行を進めている。2018年12月にCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)という記事づくりのシステムを全面更新した。このシステムは社内では「MIRAI」と呼ばれている。続いて2019年4月には大幅な組織改編を行った。同年5月に就任した砂間裕之東京本社編集編成局長に、具体的にどう変わったのか話を聞いた。
「私たちの仕事がどう変わったのかというと、まず出稿会議を前倒ししました。従来は午後3時と5時に各部署の当番デスクが集まって翌日の朝刊へ向けた会議を行っていたのですが、それを午後2時半に一本化しました。交番会議と呼んでいますが、各部署が出稿予定を出して調整をする場ですね。
それとともに前日の夕方5時に、翌日のデスクが集まる会議を行っています。これは翌日のイベントや出稿予定を全社で出しあって、それをデジタルに何時に出すか、きめ細かく決めていく会議です。社内では今のところ『明日のコンテンツ会議』と呼んでいますが、名称は変えていく予定です。
ですから、夕方5時のデジタルのための会議、翌日には夕刊のための会議と2時半の朝刊のための会議という流れになっています。紙の紙面のための会議は1回少なくなったわけですね。紙だけの時代は、紙の締切にあわせて仕事をしていたのですが、デジタルの時代は、記事を書いたらすぐに出稿する、という考え方に変えたのです。
それによって夕方からに集中していた出稿を平準化しました。校閲作業も余裕をもってできるし、記事の質をあげることにもつながる。校閲が済めばすぐにデジタルで配信しますので、結果的にデジタルを強く意識した仕事の仕方になっていく。コンテンツファーストという考え方を大きなコンセプトにしようというわけです。
MIRAI導入は“出稿予定主義”を打ち出すことで業務改革を行うことも大きな目的です。発生ものは仕方がないにしても、予定がわかるものは前倒しで仕事をしていく。それによってコンテンツの質も高まるし、同時に記者の“働き方改革”にもつながるわけです」
統合編集体制への移行によって、同社のニュースサイト「デジタル毎日」をつくる人たちも編集編成局へ統合されており、交番会議には紙もデジタルも両方のデスクが参加する。
「2017年春に、編集編成局の中に統合デジタル取材センターという部署をつくりましたが、2019年春に倍近くに人員増強をしました。編集編成局自体がデジタルに注力するために大きく変わったわけで、2020年春にも人員を増やす予定です。
改革の結果、デジタルサイトのみの記事もかなり増えました。そういうデジタルオンリーで出稿した記事から、反響が大きかったために、後で紙面に載ることになるケースもあります」(砂間局長)
この春にもいろいろな組織再編が行われる予定だという。
「ウェブ編成・速報グループと、そのヘッドクォーター役の編集デジタル推進室を統合して、ウェブ編成センターとします。この組織がサイト上の責任を負うとともに、読まれるコンテンツを各出稿部に働きかけて作っていくことになります。
それからデジタルをやってきてわかったのですが、LGBTや虐待、ジェンダー、障害者の問題といった、従来マイノリティと思われてきたテーマがウェブですごく読まれるんですね。今それを担っているのは“くらし医療部”の一部なのですが、これを統合デジタル取材センターに統合して、より一層デジタルを強化しようと考えています」(同)
「くらし医療部」は2019年に医療福祉部と生活報道部が統合したもので、医療や社会保障のテーマと、かつて家庭面と呼ばれた紙面で扱っていたテーマをともに扱う大きな部署になっていた。その中の一部の部隊をデジタル強化のために再び切り分けるということだ。
最終更新:3/21(土) 16:11
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