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”根拠のないサインは出すな”野村監督時代から息づく配球の鉄則とは?

3/23(月) 17:00配信

ウォーカープラス

ディープな野球談義と、“野球目線”でのユニークな食レポは、ほかでは聞けない! チャンネル登録53.6万人を超える野球ファン御用達のYoutubeチャンネル「トクサンTV」でおなじみのアニキとライパチが、元プロ野球選手の経営するお店を訪問して本人に直撃インタビュー! 現役時代に話せなかったアノ話や、自慢のおすすめメニューを徹底的にしゃぶり尽くす!

【写真を見る】左からトクサンTVのアニキとライパチ、米野智人さん/トクサンTV連載

第4回は、東京・下北沢の「イニングプラス」のオーナー、米野智人(元ヤクルト-埼玉西武-北海道日本ハム)さんが登場。自慢のメニューをアニキとライパチが初体験!<前編、後編にわけてお届け!今回は前編>

■米野智人(よねの ともひと)/1982年北海道生まれ。北照高からドラフト3位でヤクルト入団し捕手として活躍。2010年に埼玉西武ライオンズへ移籍し、外野手に転向。2015年には北海道日本ハムに移籍し、2016年に現役引退。2017年3月に「イニングプラス」を開店。

■ナチュラルキッチン イニングプラス/全メニューがグルテンフリー、可能な限りオーガニック、無農薬、自然栽培の食材を使用する健康に特化したレストラン。添加物や白砂糖、化学調味料などもいっさい不使用。ヴィーガン対応のメニューもあり。

■ 古田敦也に憧れ、少年時代から捕手一筋だった

アニキ「僕はずっと投手をやっていますが、じつは配球マニアなんです。以前から配球の研究を趣味にしていて…。今日は捕手出身の米野さんのお話が楽しみです」

米野「ほう、配球マニア? なんだかすごいですね。僕でよければ何でも聞いてください」

ライパチ「ところで米野さん、子供の頃からもう捕手でした?」

米野「そうです。少年野球からですね。もうひとり肩の強い子がいて、彼が投手になり、僕が捕手に…。コントロールがよくなかったから。まあ、結果的にはよかったです(笑)。最初はレガースとか付けるのが面倒でしたけど、古田(敦也)さんの活躍を見て、キャッチャーってカッコいいなと思うようになりました…」

ライパチ「へえ。そんな憧れの古田さんと、後にチームメイトになるという…」

アニキ「メディアで捕手の配球がクローズアップされ始めたのも、古田さんの頃からでしたね。『古田のリードで勝った』みたいに書かれたり、投手の立場ないなぁなんて思いました(笑)」

米野「でも、実際に古田さんのサイン通りに投げて抑えられることが多かったし、当時のヤクルトでは投手陣からの信頼が絶大でした。首を振るなんて考えられなかったですよ」

ライパチ「高校は北海道の北照高校。甲子園にも出場されました」

米野「2年生の時に1998年の選抜に出ました。松坂投手の横浜高校が優勝して、春夏連覇した年です。僕らは初戦敗退でしたけどね。でも、甲子園に出たくらいからスカウトの方が見に来てくれるようになって。だから、高校の後半はもうプロを意識するようになっていましたね」

アニキ「当時は、自分のどこが評価されていると感じてました?」

米野「まあ、肩だけは強かったので、そこだけでしょう。肩には自信ありました」

ライパチ「ドラフト3位で2000年にヤクルト入団。高校からプロに入って、レベルの差はやはり歴然としていましたか?」

米野「投手のレベルも違いますが、キャッチングは慣れればうまくなるんです。ただ、問題は配球でしたね。投手をリードして試合を組み立てていくには、どうしても経験が必要だし…。捕手はいくつも失敗をして、経験を積み重ねないと成長できないから。まあ、捕手に限らず、結局、プロで生きるためには、失敗をいかに糧にしていくかが鍵なんです」

アニキ「深い言葉ですね。ただ、高校野球の時点では配球のレベルなんて、タカが知れてるようにも思います。そこだけは、プロに連れてきて鍛えるしかないでしょ。失敗も含めて、経験から学んでいくわけで…」

米野「その通りですね。まずは味方の投手を知り、敵である打者を知ることから始まります。投手だって大勢いますからね。ひとりずつ球種や長所、性格などをすべて自分の中にデータとして入れていかないと。相手打者に至ってはもっと多いわけだから…。とにかく、捕手は仕事が多いんです」

ライパチ「いやあ、頭にたたき込むだけで大変そうです…」

米野「幸い僕の場合は、古田さんがチームメイトでしたから、近くで学ぶことができました。ベンチから、自分なら次にどのサインを出すかとか、配球を考えたり…。じつは、ベンチからのほうが結構冷静に打者を分析できるんです。『振り遅れてるから、直球でファール取れるな』とか、ベンチにいれば判断できるけど、自分がマスクを被ってると、それがなかなかできないものなんです。とにかく、『根拠のないサインは出すな』というのが配球の鉄則で、それは野村克也監督の時代から、チームに息づいていましたね。結果打たれたとしても、『なぜ、その球を投げさせたか』という根拠だけは、常に持つようにしていました」

アニキ「周りは結果だけ見てあれこれ言うけど、じつはそう単純じゃない。前の打席に何らかの伏線があって配球を決める場合もあるから。その打者が醸し出す何かをつかみ取ってサインを出すこともある。マスクを被ってる捕手しかわからないことも多いでしょうね」

ライパチ「でも、先程も仰ったように失敗を重ねながらも成長されて、古田さんが兼任監督になられてからは、かなり出番も増えましたよね」

■ 「配球とリードは違う」という古田の教え

米野「そうですね。あの頃は試合にたくさん出場できたし、充実感がありました。ただ、チャンスをもらいながらも、完全につかみ取ることはできなかった。やはり捕手に独特の難しい面もあるし。『配球とリードは違う』と、古田さんによく言われたんです。つまり、ただサインを出すだけじゃなく、『そのボールを投げさせる根拠を投手にしっかり伝える』ことがリードなのだと。ただ、『カーブを外角低め』と機械的に投げさせるのではなく、『ストライクゾーンからボールにして、空振りを取る』ことまで伝えないと。自分にいくら根拠があっても、投手がそれをわかっていなければ意味がないんです」

アニキ「…うーん。それ、すごく響く話ですね。トクサンTVで配信したいくらい(笑)。確かに、理論的に正しい配球をしたところで、投げるのはあくまで投手ですし。その根拠をわからずに投げさせてはダメだと…」

米野「当時の僕は、自分で必死に組立を考えて、配球のことばかり考えていました。だから、『なんでこんなコースにきちゃうんだよ』と思っても、単に投手の技術面に問題があるばかりじゃなく、僕の意図が投手に伝わっていないから打たれる場合も多いんです。ボールにしたいなら、ストライクじゃダメだとしっかり伝えないと。結局、全然リードができていなかった。自分本位だったんですよ」

ライパチ「…すごいなぁ。話が深すぎて、どんどん引きこまれる」

米野「ストライクには空振り・見逃し・ファールの3種類があることを意識するようにも言われました。空振りを取る球なのか、ファールさせるコースなのか、しっかり考えてサインを出せと。とにかく、一番難しいのは初球なんです。タイミングの取り方や待ち方とか、打者の反応を見られると、その後が楽になるから。その反応が見られない初球は、どうしても恐いんですよ」

アニキ「でも、恐いからと厳しくいき過ぎても、カウントを悪くしてしまう…。初球には時に大胆さも必要な気がしますね」

米野「そうなんです。しかし、松井(秀喜)さんのような超一流クラスになると、もう初球は絶対ボールになってしまう。投手も一発が恐いから厳しくいって、必ず0-2とか1-2で打者有利のカウントになるから、向こうはもう甘いところだけを待ってる。で、ストライクを取りにいったら、確実に仕留めるわけです」

アニキ「ヒッティングカウントになった時点で、ほぼ勝負がついちゃってますよね。ただでさえ強打者なのに、余計に打っちゃう(笑)。まあ、自分有利な状況を作れるところが、本物の一流なんでしょうけど」

米野「だから、松井さんのような強打者相手だと、『まずはワンストライクを取れ』と言われてましたね。恐くても『カウント1-0にさえすれば、同じ土俵で勝負できるから』と」

ライパチ「松井さんとか、落合(博満)さんクラスになると、ピンチで迎えたらもう0-1になるしかないような気がします。しかし、そんな失敗を繰り返さなければ、捕手は成長できないということなんですよね」

米野「古田さんにしても、大学と社会人で経験は積んでいましたが、新人の頃は失敗ばかりしていたそうです。初めから成功体験ばかり…なんて捕手は存在しませんよ」

ライパチ「ところで、11年在籍したヤクルトから、2010年に西武に移籍しましたよね」

■ 肩も肘も痛めて捕手としては限界だった

米野「西武に行って、外野手に転向したんです。ヤクルト時代から肘や肩も痛めていたし、イップスにもなったんです。投げる感覚がおかしくなり、精神的にも随分落ち込みました。で、2008年にファウルチップを親指に当てて、脱臼骨折したのが極めつけで…。以降は肘も肩も悪くなって、自分から二軍監督にコンバートを申し出たんです。それが2010年の5月のことで、その1か月後にトレードが決まったんですよ。でも、西武は捕手として僕を獲ったのでまた捕手をやるんですけど、結局は外野手に…」

アニキ「肘も肩も痛めて、捕手としてはもう限界だったんですね」

米野「まともに投げられなくなってたので、チームに迷惑をかけたくなかったし…。ちょうどチームには右打ちの外野手が手薄だったので、チャンスがあった。たまたま紅白戦でホームランを打ったこともあって、外野で勝負することになって…」

ライパチ「でも少年時代から捕手だったのに、外野手の経験はあったのですか?」

米野「ほぼゼロですよ。小学校低学年で少しだけやったかなというくらい。だから、必死で練習しましたよ。もう、ノック受けまくりでした」

アニキ「初めて外野を守るのがプロって…だって、あり得ない打球が来るでしょ?」

米野「そうなんですよ。もう、打球の伸び方がわからない。何度も頭を越されるし…。で、後ろを警戒していると、今度はラインドライブのぐわ~っと曲がる打球がきたりとか。なかなか慣れるには大変でした。捕手からすると景色が違い過ぎるんですよね。ただ、試合前の準備は拍子抜けするくらい楽でした。ちょっと打球方向の確認するくらいだし、ほとんど打つほうに専念できるから。捕手だったら、もう長時間データとにらめっこでしたからね。まあ、僕はプロの打者としては全然でしたけど」

アニキ「…それはご謙遜もあるかと思いますが、プロの一流の打者というのは、何が違うのですか?」

米野「そうですね。一流打者は打つべき球を一発で仕留める。そこが違いますよね。彼らは甘いボールを決して打ち損じない。あとは、凡打になった時でも、一流の打者は投手に何らかのダメージを与えるんです。『次はやられるな』という恐怖感が残ると、配球が難しくなって、結果カウントも悪くなります。あとは、いい打者はビジョンが明確なんですよ。一発長打か、アベレージを残すのか、中途半端になったらダメなんだけど、だいたいはそうなっちゃう。コーチからの指導や助言もあるけど、その指導をどう自分が咀嚼できるかが鍵なんです。やはり、自分の考えを持っていない選手は、結局ダメになると思いますね」

(パート2に続く)

■イニングプラス/住所:東京都世田谷区代田5-34-21 ハイランド 202 電話:03-5712-3588 営業時間:11:30~16:00 (LO15:30)、18:00~23:00(LO21:00)、月水11:30~16:00 (LO15:30)、日祝:11:30~18:00 (LO16:30)休み:火、第3月 席数:20席<禁煙> アクセス:井の頭線下北沢駅西口・小田急線下北沢駅南西口より各徒歩1分

■トクサンTV/チャンネル登録者数53.6万人、再生回数4.2億回超を誇る驚異的人気のYouTubeの野球チャンネル。トクサン、ライパチ、アニキの3人が、野球がうまくなる練習法をはじめ、元プロ野球選手との対戦や野球グッズレビュー、自身が所属する草野球チームの試合などを配信。https://www.youtube.com/channel/UCfkm3u-0uSKADDitZLpXcfA

■ライパチ/1987年新潟県出身。「トクサンTV」の前身「ライパチボーイTV」の主役。「トクサンTV」では相方的存在として動画を盛り上げる。筋骨隆々の堂々たる体格で「天晴」の選手としても急成長中

■アニキ(平山勝雄)/1978年大阪府出身。神戸大のエースとして活躍。テレビマンとして数多くの番組を手がける傍ら、トクサンTVを立ち上げ。トクサンも所属する草野球チーム「天晴」のエースを務める

(東京ウォーカー(全国版)・渡辺敏樹)

最終更新:3/23(月) 17:00
ウォーカープラス

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