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「転売」ではない新ビジネスを。新型コロナウィルス危機を乗り切る発想転換【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(15)

3/24(火) 7:01配信

FINDERS

大統領よりも州や地方自治体が活躍

新型コロナウィルス(COVID-19)について、当初アメリカではトランプ大統領が「インフルエンザのようなものでたいしたことはない」と軽く扱い、保守メディアのFOXはそれを繰り返すだけでなく「大統領を弾劾するためのリベラルの陰謀」といったプロパガンダを行ってきた。大統領自らがCOVID-19のことを「中国ウィルス(Chinese Virus)」とツイートし、アジア系への憎しみや差別を助長している(筆者も嫌な体験をした)。

カリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ州などの州知事は、このような大統領の指導力には期待せず、どうしても必要な場合以外には自宅から出ないよう住民に求める「ロックダウン」の命令を出した。筆者の住むマサチューセッツ州も3月上旬に知事が非常事態宣言をし、17日からはレストランとバーは閉鎖され(テイクアウトは継続)、学校はすべて休校。23日にはロックダウンの命令も出され、必要以外は外出せず自宅待機するよう指導されている。

地域により大きな差があるが、今のところアメリカでは大統領よりも州や地方自治体の方が信頼できる対応をしている。筆者が住む町では、今回のCOVID-19でもそうだが、緊急事態にはEメール、ランドライン電話(固定電話)、携帯電話、テキストメッセージなどで即座に連絡が入る。

近所の町議会議員から今日伝送されてきたEメールには、食料品や医療での援助が必要な人への情報、学校閉鎖で給食を食べられない低所得の家庭の子どもへの食事提供、食料品を無料で配達してくれる店の情報が詳しく綴られていた。ボランティアで動いてくれる人の情報も入っており、一人暮らしの人や高齢者にとって、何かあった時には誰かが助けてくれると安心させてくれる内容だった。

この辛い現実を直視すること

国レベルでも事態は急速に変化しており、3月19日には国務省が突然渡航勧告をレベル4に引き上げ、すべての海外渡航の中止を発表した。

COVID-19で即座に影響を受けたのは、ホテル、レストラン、旅行、エンターテイメントなどの産業だ。これらの産業に頼っている二次的な産業も打撃を受けている。このロックダウンが長期化すると、COVID-19の問題が収まった後にも回復できない企業はかなりあるだろう。

今回の件を2001年9月の同時多発テロや2008年の世界金融危機(リーマンショック)と比較する人もいるが、ビジネスをしているほとんどの人は、COVID-19がもたらす経済後退がもっと深刻なものになると考えている。それどころか、第二次世界大戦か1929年にスタートした世界大恐慌の規模に匹敵すると語る人もいる。

筆者夫婦の場合も他人事ではなく、株の大暴落で資産の2割ほどが一瞬にして消え、共同経営の会社では予定されていた仕事のキャンセルが続いている。あと1年ほど収入がほぼゼロになる想定で夫と「危機管理計画(contingency plan)」をディスカッションしているところだ。

暗い状況だが、大統領が現状否定をしていた頃から「新しい現実」を受け入れて「変化」しているビジネスもある。つまり、ダーウィン式の考え方だ。

新しい現実に対応している組織に共通するのは、「人々が現在、最も必要としていること」を考えていることだ。

この連載で何度も語ったことだが、良いマーケティングとは、「人が必要としていないものを売りつけること」ではない。「人々の困りごとに解決策を提供すること」である。

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最終更新:3/24(火) 7:01
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