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日本人の信じる寝酒神話…医師が「缶ビール」で実験してみた

3/24(火) 17:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

巷間にあふれる健康情報。民間伝承的なものからテレビ等で話題となった比較的新しいものまでさまざまですが、実際の効果・信ぴょう性はどうなのでしょうか。オタク気質の医師が、体を張って挑戦・結果を分析します。第一線の医師による渾身のレポート!※本記事は『110歳まで元気に生きる! 実験オタクなドクターに学ぶ健康長寿のウソ・ホント』(幻冬舎MC)から一部を抜粋・再編集したものです。

「寝酒を飲むと熟睡できる」というのは本当か?

●眠る前に「缶ビール1本」を飲み、記録を取ってみた

寝る前に飲酒をすると、「よく眠れる」と考える人は多いと思います。特に日本人は世界的に見ても寝酒をする割合の多いことが、睡眠に関連する行動調査※1でも分かっています。どうやら日本には「寝酒神話」が根強く残っているようです。

そこで、寝酒をするとよく眠れるのかを確かめてみることにしました。寝酒ですから缶ビールを1本程度とし、飲んだ日と飲まなかった日の脈拍や体調などをチェックしました。

すると、確かにアルコールを飲むと寝つきは良くなります。スーッと眠りに落ちたのですが、数時間後には目が覚めてしまいました。それ以降もウトウトする程度で眠りは浅く、すぐに目が覚める状態が朝まで続くこととなったのです。

アルコールには利尿作用があり、睡眠中の尿の量を増やすので尿意を催して目が覚め、睡眠が途切れ途切れになったのも原因の一つと考えられます。

また、脈拍も本来は下がるはずなのに、ビールを飲んだ日は下がり切ることはありませんでした。これは、深い眠りを得られていないことを意味しており、実際に翌朝は体がだるく、前日の疲れが十分に取れていませんでした。つまり、寝る前の飲酒は睡眠の質を大幅に低下させてしまうのです。

※1 「眠れないときにどうするか」の各国比較。10ヵ国、3万5,327人を対象にしたSLEEP(SLEep Epidemiological)Survey のデータから。(提供:三島和夫)

●「百薬の長」のはずが、少量でも発がんリスクに

昔から「酒は百薬の長」というくらいなので、少量なら良いのではないかと思う人もいるでしょう。実際に、「アルコールが動脈硬化の進行を防ぎ、脳梗塞や心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクを下げる」とする研究結果が、過去には発表されています。

このほかにも血管を拡張して血流を良くするとか、リラックス効果があるなど、さまざまな発表がされてきました。ところが、それらの説を覆す信頼性の高い論文が2018年8月に医学雑誌『ランセット』に発表※2されたのです。

それによると、健康リスクを最小化する飲酒量に関して、最も信頼のおける値は1日0杯という結果。心筋梗塞に関しては、少量の飲酒をしている人ほどリスクが低く、ある程度以上になるとリスクが高くなるのが分かりました。しかし、女性では少量でも乳がんのリスクが上がり、男性では口腔がんのリスクが上がっていました。

医療の分野には絶対はなく、「今日の常識が明日の非常識」ともいわれています。ですから論文一つで判断はできませんが、世界的権威のある雑誌なだけに波紋を広げています。

しかも、アルコールを飲むと寝汗をかきやすくなることで体は脱水状態となり、血液が固まりやすくもなります。これにより血管が詰まる恐れがあり、睡眠中の脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることにもつながります。

私の実験でも寝酒は睡眠の質を低下させる結果が出ているので、アルコールに頼らず、生活習慣を改善することで良い睡眠を確保することをお勧めします。

※2 GBD 2016 Alcohol Collaborators[2018]

寝る前の一杯は健康に良い!?

→ ウソ

習慣にしよう!

●寝酒の習慣はやめましょう。夜中に何度も目が覚め、記憶や学習にとって大事なレム睡眠を妨げることとなります。日中のパフォーマンスが低下するなど、仕事や勉強にも悪影響となりデメリットのほうが多いと考えられます。

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最終更新:3/24(火) 17:00
幻冬舎ゴールドオンライン

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