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インターネット時代に生き残るニューヨーク「古書ビジネス」の最先端

3/25(水) 19:00配信

クーリエ・ジャポン

3月にアメリカで封切りとなった映画『The Booksellers』──。「本を売る人々」というタイトルのこの映画は、ニューヨーク古書ビジネスの裏側を見せてくれるドキュメンタリー作品だ。

個性豊かな書店が集まるニューヨークには、本を愛する人々も多い。そうした人々の情熱と信念が支える古書の世界を、アメリカ出版事情について取材を重ねてきたニューヨーク在住のジャーナリスト秦隆司氏が紹介する。

現代はインターネット全盛の時代だが、意外にも古書の価値は見直されてきているという。

ニューヨークの個性豊かな書店たち

3月9日、私は自分のアパートから徒歩でいける13丁目の5番街と6番街の間にある映画館に向かっていた。今年に入ってやっと春を感じられる初めての日で、気温も17度くらいまで上がっていた。体に感じられる日差しの温かさを楽しみながら通りを歩いた。新型コロナウイルスの脅威もまだそれほど感じられない時期だった。

観ようとしていた映画は『The Booksellers』という映画で、この日が一般への封切り日だった。私は数日前に映画館を訪れ、最初の上映時間の前売り入場券を手に入れていた。

この映画は昨年リンカーンセンターでおこなわれたフィルム・フェスティバルで上映され、好評を得ていた。この映画の存在を教えてくれたのは、昔ニューヨークの紀伊國屋書店で店長をやっていて、今は日本に住んでいる友人だった。つまり、私は日本からの知らせでこの映画を知ったことになる。
 
ニューヨークの本屋は、「アメリカン・ブックジャム」という洋書を読む人の雑誌を以前だしていたので、私自身いろいろな店を巡った。ロックフェラーセンターにあったニューヨークの街についての本だけを置いていたニューヨーク・バウンド・ブックショップ。今はもう店を閉めてしまっているが、この店はオーナーが自分で本を出すつもりで集めたニューヨークに関する本が100冊ほどたまり、中には入手困難な本もあったので、ニューヨークに関する本だけを扱う本屋を始めたのだ。

また、最近移転を噂されたが、今も同じ場所にあるマクナリー・ジャクソン。この店のオーナーはカナダの書店チェーン、マクナリー・ロビンソンの創設者の娘で、私が取材をした時にはまだ店名はマクナリー・ロビンソンだった。店名を変えるという話をしていたが、その後店の名前を今のマクナリー・ジャクソンに変えた。

それにローワー・イーストサイドに今もあるハウジング・ワークスブックストア。扱う本はすべて寄付されたもので、従業員も数人を除いてはボランティアの人たちだ。利益は母体となる、エイズ患者やハームレスの人々を助ける非利益団体ハウジングワークスに送られている。

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最終更新:3/25(水) 19:00
クーリエ・ジャポン

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