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クレー射撃選手・大山重隆は「父の夢だった国体、僕に継がせてほしい」と語り、そして今、オリンピックへと道は続く

3/25(水) 12:00配信

Tarzan Web

父と一緒に狩猟をやろうと銃を手にした青年は、クレー射撃の面白さにはまって夢中になった。そして今年、オリンピックへの道が見えてきた。(雑誌『ターザン』の人気連載「Here Comes Tarzan」、No.783より全文掲載)[取材協力/ニッコー栃木総合射撃場]

東京オリンピック出場内定選手が語る、クレー射撃の魅力。

射手がコール(掛け声)をかけると、それに反応して15m前方にある機械が動き、クレーが射手から遠ざかるように空中に飛び出す。クレーは蛍光オレンジに輝く、皿のようなカタチをした陶器で直径は11cm。飛び出す向きは左、右、中央のどれかで、高さもランダムである。

射手はすばやくクレーに銃口を向け、引き金を引く。パァーンという乾いた発砲音が響くと、クレーは砕かれて、細かなオレンジの粒となり、バラバラと地面に落ちる。

クレー射撃のトラップ種目は、横一線に並んだ5つの射台(射手の撃つ場所)を移動して、クレーを撃破していく。1ラウンドで25枚のクレーを撃ち、2発以内で当てることができると得点となる。

大山重隆は昨年のアジア選手権で日本人最高位となり、この種目での東京オリンピック出場が内定した。まずは、クレー射撃の魅力について語ってもらおう。

「やっぱり、自分で所持する本物の銃と本物の弾を撃てるということでしょうか。一度、見ていただけるとわかるのですが、引き金を引いたときの衝撃音は迫力がありますよ。やっている本人としては、狙ったクレーに当たったときはヨシッて感じでうれしいし、本当に楽しいんです」

クレーは秒速30mで、空中を射手から遠ざかる。それを秒速300mの銃弾で射貫くのだが、最初に言った通り、方向、高さともにランダムだから、瞬時にクレーを追う視覚が必要だし、銃口を向ける反射神経も大切になる。

これだけでも大変なのに気象状況にも左右される。風が吹けばクレーは不規則な飛び方をするし、日差しが強かったり、あるいは暗かったりすれば見えにくくなる。

さらに「本物の銃と本物の弾」を使っているので、射手にかかる衝撃がすさまじい。発砲したときに、肩にかかる重量は最大1トンにもなる。

「下手をしたら骨折します。だから、衝撃をどう吸収するかが重要になる。初矢(1発目の弾)を外したときに衝撃をうまく流せないと、二の矢(2発目の弾)が安定しなくなりますから。ただ、これは撃っていくなかでわかってくるというか、できるようになる。僕も最初は、銃が跳ね上がって顔に傷がついたり、肩に痣ができたりしていましたからね。同時に大事なのが衝撃を受けてもカラダを安定させられる体幹。これは国立スポーツ科学センターに週2回通って、トレーニングで鍛えています」

大山の練習を見ていると、どうにも軽々とクレーを撃っている感じなのだが、実際は肉体を極限まで酷使する競技なのである。しかし、と大山は言う。「クレー射撃は9割がメンタルの勝負なんですよ」と。

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最終更新:3/25(水) 12:00
Tarzan Web

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