ここから本文です

寝屋川事件・山田浩二手記 死刑確定者となって生きる意味を考えた

3/25(水) 15:46配信

創

●はじめに

 寝屋川事件と言っても、忘れている人が多いかもしれない。2015年夏、中学生男女が深夜連れ去られ、遺体で発見された。商店街の防犯カメラに残された中学生のあどけない姿が連日、テレビに映され、多くの人の涙を誘った。
 逮捕された山田浩二被告には2018年12月に大阪地裁で死刑判決が出された。その後、彼は本誌に手記を寄せたが(19年4月号)、昨年5月18日に突然、控訴を取り下げて、死刑を確定させてしまった。その経緯も7月号に掲載したが、拘置所に借りたボールペンを時間までに返さなかったことで係官と口論になり、パニックになり手続きしてしまったという。
 私が駆けつけると、面会室で山田被告は激しい後悔を口にした。1本のボールペンで裁判を終結させてしまうというのでは、真相も闇に葬られてしまうと、私は取り下げ無効の手続きを行うことを勧め、5月30日付で行われた。
 一度確定した死刑判決を覆すのは簡単ではない。法曹関係者は悲観的見通しだったが、何と昨年12月17日、大阪高裁は山田被告の申し出を認め、控訴取り下げ無効という決定を行った。山田被告は約半年ぶりに死刑台から戻ってきて今回、再び手記を本誌に発表することになった。
 検察側が決定を不服として最高裁に抗告したから、最終的にどうなるかはわからない。以下、山田被告の手記と、年末に接見した時の報告を掲載する。   (篠田博之)

下手すれば年内執行かそう思っていた

 今、これを書いているのは令和になって初めてのクリスマスイブ…2019年12月24日の火曜日だ。
 今僕が生活を送っている居室からは外の景色が見えない「ギリギリ1cm程のすき間から近所の道路が見える」ので天候が判らないけどどうやら雨は降っていないようだ。今年のクリスマスイブも大阪は雨が夜更け過ぎに雪へと変わることはないんだろうな…そんなSilent nightなHoly nightになりそうだ…。裁判所から1週間早く届いたまさかのクリスマスプレゼント…。
 控訴取下げ書提出無効申立てに対する年内の決定通知は時期的に厳しいと思っていた。年明け以降になるだろうと思っていた。なので12月17日に無効の決定を通知する書面を受け取った時はその書面記載内容の意味が全く理解できなかった。
 それから1週間…。正直な気持ちまだ無効が決定になったという実感はない。年内は「死刑確定者」としての身分で過ごすクリスマスや年末年始になるだろう…と思っていたし、下手すれば今や恒例となった年末執行の餌食にされて生きて年越しするのは無理なんじゃないか?とも思っていたから…。
 あれからもう1週間かあ…。この1週間で僕の生活環境等は約7カ月ぶりにガラリと変化した。今回逮捕されてから色々あって何度も生活環境がガラリと変化する事が多くて精神的について行けない時も数えきれない程あったけど大半は僕にとってBadなChange in the environmentだった。
 けど今回だけは…。7カ月前の5月18日に僕は取り返しのつかないActionを起こしてしまった。それが悪夢のSaturday nightになるなんて思っていなかったし、それが今後の僕の人生に大きな影響を与える結果になるなんて…。気がつけば死刑判決が確定してしまっていた。
 その意味を僕の中で認識するまで、かなりの時間がかかった。馬と鹿を合わせたような刑務官の挑発というTrapに引掛かり、一瞬で僕の精神は自らコントロールできない程、崩壊してしまったみたいだ。
 身に憶えのない件で調査となり、それが原因で僕の中にある心のブレーキの制御がきかないSwitchが入って、今だに何故あのような選択をしてしまったのか理由が判らないけど、結果として僕は控訴を取り下げてしまった。
 そしてその10日後となる5月28日火曜日の朝食後に閉居罰15日という懲罰と死刑確定者として処遇するとの言渡しを連チャンで受けた。よりによって同じ日に…。
 この日の朝から僕の身分は死刑確定者となり懲罰で座る事になってしまった。虚偽申告で懲罰にせなアカンのはあの刑務官の方だろ? 何故だかふと軽くめまいがした。怒りに対するめまいなのか、現実を把握できない為のめまいなのか判らないが、言い渡されてしまった以上は仕方ない。辛いけどいなめない。こんな現実に対する不満が浮かぶ気力もなかった。
 言いたい事はもちろん山程あった。しかしそれを口にすればする程、反抗的態度だの侮辱だの暴言だの職員の指示に従わないだの揚げ足を取られ、因縁をつけられて追加の調査となり負の連鎖に巻き込まれるのはこれまでの経験上、判っていたし、不利益を被る処遇となり吊られる前に自らの首を締める事となり奴らの面惑通りになってしまうので、それだけは措止しなければ…となんとかBrakeをかけられた。

1/6ページ

最終更新:3/31(火) 14:19

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事