月曜夜9時台のフジテレビのドラマは「月9」と呼ばれ、かつて一世を風靡した感があった。
その後、スマホの普及とともにテレビをめぐる視聴環境が激変し、若い女性がリアルタイムでドラマを見る習慣自体が少なくなった。「月9」もかつての勢いを失っていった。同時にそれは、民放トップを独走していたフジテレビの失速を象徴することでもあった。
ところが、2018年頃から「月9」の視聴率が回復しつつある。そしてそれは、フジテレビの勢いが回復しつつある兆しではないかと受けとめられてもいる。
その現状について、編成制作局制作センターの牧野正第一制作室長に聞いた。
「この10月から放送している『シャーロック』は第1話が視聴率12・8%で、11月までの平均が10・1%で推移しています。昨年7月期の『絶対零度』で平均視聴率が2桁になって以降、『月9』はずっとそれを維持しています。4月期の『ラジエーションハウス』が全話平均12・1%、7月期の『監察医朝顔』は12・6%でした。今、テレビを見ている人自体が減って総世帯視聴率が落ちていますから、そういうハードルがある中で一貫して2桁をとっているというのは健闘していると言ってよいと思います。
その兆しが見え始めたのは2018年4月期の『コンフィデンスマンJP』からでした。平均視聴率は8・9%でしたが、このドラマで手応えを得て、次の『絶対零度』につながっていった。『コンフィデンスマンJP』はそういう手応えを感じた作品で、映画化もされました。『絶対零度』は続編が2020年1月期から放送されることになっています」
10月期に放送されている『シャーロック』は、シャーロック・ホームズのシリーズを原作にしたドラマだ。ただし「アントールドストーリーズ」(語られざる事件)とうたっているように、原作で言及されてはいるが詳しく語られていない事件をベースに、制作者や脚本家がストーリーを考えたオリジナル部分も多い。舞台もイギリスでなく東京である。そしてキャストは、シャーロック・ホームズに相当する主人公がディ―ン・フジオカ、相棒のワトソンに相当するのが岩田剛典というイケメンコンビ。このへんが「月9」ならではだ。牧野室長がこう語る。
「かつての『月9』は恋愛ドラマが中心で、主な視聴者がF1、F2と言われる若い女性でした。でも今、F1層(20~34歳女性)はそもそも毎週夜9時にリアルタイムでドラマを見るという習慣自体が少なくなってきています。ドラマというのは、その時間に見続ける習慣が一度なくなってしまうと、取り戻すのはなかなか大変なのです。
今の『月9』は、やはり女性がメインなのですが、中心的な視聴者はF2、F3と、年齢層が少し高くなっています。その層を中心に幅広い層にどうやって見てもらうか、オールターゲットという戦略ですね。題材も事件ものや医療ものが多くなっています。近年、他局も含めて、このジャンルのドラマが多くなっていますが、フジテレビはキャスティングや中身で、少しエッジを立たせようと意識しています。例えば『シャーロック』も主人公がディ―ン・フジオカさんなら、ワトソンには年配の個性派俳優をあてるのが普通ですが、そこに岩田剛典さんをキャスティングしました。上の層にも見てもらえるものにするけれど、上目になりすぎず、幅広い層の方に見てもらえるように意識しています。
かつてのようなラブコメをやらないと決めているわけではありません。でも時代が変わってきたなかで、昔と同じ感覚ではいけない。何か工夫が必要なのです。『月9』は一時期、数字がとれない時期が続きました。このところ続けて2桁の視聴率を維持しているのは、そういう工夫の結果だと思いますが、月曜9時にドラマを見るという視聴習慣がここで根付いてほしいですね」
最終更新:3/25(水) 16:17
創






























