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“最底辺の職業”と自嘲する「交通誘導員」の過酷な実情 なぜ泣けるのか

3/25(水) 11:00配信

文春オンライン

 1946年生まれの著者は、「最底辺の職業」と自嘲する交通誘導員に、断続的に3年以上従事している。炎天下に何時間も立ち続け、指示が気に入らないドライバーから理不尽な罵声を浴びる。指示を無視した車が接触事故を起こすなど冷汗をかくこともしばしば。現場管理者も業務外の仕事である汚いトイレ掃除をやらせたり、危険な現場に強引に立たせたり、無理を押し付けてくる。交通誘導員は慢性的な人手不足で素性をほぼ問われないこともあり、同僚も一癖ある人間が多い。そんな苛酷な実情を、編集・ライターとしての経験を活かし、「事実をして語らしめよ」のモットーで赤裸々に日記形式で綴ったところ、スマッシュヒット。

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「読者層の中心は、著者とほぼ同年代、70代前後の高齢者の方が多い印象です。その感想に『泣きました』という声がいくつもあったのが、著者と私には意外でした。実は編集中に、『いい話』も盛り込んでほしいとリクエストしたのですが、著者本人にも同僚にも、そんな心温まるエピソードはまるでない、と。そこで無理に美談仕立てにはせず、厳しい話ばかりをそのまま載せる方針にしたんです。それでも著者の境遇に自分を重ねたのか、著者の悲哀が伝わったのか。明確な理由はわかりませんが、多くの方が涙してくださったのは、嬉しい驚きでした」(担当編集者の中野長武さん)

2019年7月発売。初版5000部。現在10刷7万6000部

前田 久/週刊文春 2020年3月26日号

最終更新:3/25(水) 11:00
文春オンライン

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