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新型コロナウイルスがついにパンデミック(世界的大流行)に。東京オリンピックは開催できるのか? 経済への影響は?『感染症の世界史』著者、石弘之さんインタビュー

3/25(水) 7:00配信

Book Bang

新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大しています。3月12日、WHO(世界保健機関)はついに「感染爆発」と認めて、パンデミック・フェーズに入ったと宣言しました。イタリアやアメリカ、イランなどでも感染者が急増。日本でも全国の小中高校が休校となり、多くのイベントが開催の中止や延期を余儀なくされています。7月に東京オリンピックの見通しはどうでしょうか。世界中の株価が暴落していますが、経済はどうなるのでしょうか。
『感染症の世界史』の著者、石弘之さんにふたたびお話をうかがいました。
>>【第1弾】新型コロナウイルスはなぜ発生したのか、いつ収まるのか
https://www.bookbang.jp/review/article/609043



■6回目のパンデミック宣言

――前回のインタビューから約1か月がたちました。ついにWHOがパンデミックを宣言しました。

石:パンデミック宣言は時間の問題でした。3月13日現在、世界の119か国・地域で感染が確認され、感染者は12万9000人、死者4900人にまでなっています。

 今回が6回目のパンデミック宣言(別表参照)ですが、過去は2勝3敗といわれるように、空振りに終わったケースの方が多く、WHOはトラウマになり、宣言が遅れる一因になったという見方もあります。

――そもそもパンデミックとはどういう状態ですか。

石:WHOは感染の警戒フェーズを6段階に分けています。そのなかの最高位の「フェーズ6」が「パンデミック・フェーズ」で、多数の国で持続的な感染が広がっている段階です。

 世界的に見ると、まったく歯止めがかかっていない状態です。中国では流行が頭を打ったと発表していますが、世界的流行はこれからが正念場だと思います。

 人類は過去にも、こうした感染症の大流行を経験してきましたが、日本がこれだけ巻き込まれたのは、100年前のスペインかぜ以来ではないでしょうか。国内での流行は、感染経路がつかめない市中感染や集団(クラスター)感染に移り、新たな次元に入りました。

 この未知との戦いで、私たちに与えられた武器はマスクや手洗いとせきエチケット。無力感を抱いている人は多いかもしれませんね。

――毎日のように新たな感染者が報告されています。

石:世界中で「堤防の決壊」を食い止めようと必死に土のうを積んでいますが、決壊した場合、政治経済を含めてパニックが広がる可能性は高いといえます。

 入国・渡航制限などで国際関係もぎくしゃくしてきました。新聞・テレビのニュースでは、コロナウイルスで持ちきりで、情報が氾濫しすぎて現実がよくわからないといった声も聞きます。報道が恐怖をあおっている気さえします。

■世界経済への影響

――新型コロナウイルスへの警戒感から、世界の株式市場で株価が乱高下しています。

石:3月9日にはニューヨーク株式市場で株価が急落し、売買が自動的に15分間停止されました。アメリカだけでなく、すでに世界の経済がパニックになっています。株式市場は2008年の景気後退局面以来、各国で最大の下げ幅を記録しています。

 日本の日経平均も1万8000円を割り込みました(3月13日現在)。貿易と投資の減少、生産性の低下、消費や旅行需要の減退、サプライチェーンの混乱、労働者の病欠や自宅待機による労働損失など、世界経済には深刻な影響が出はじめています。

 日本の2019年10~12月期の実質GDPは、前期比1.6%のマイナス、前期比年率換算で6.3%のマイナスとなりました。とくに、個人消費が前期比で2.9%のマイナス、住宅投資が同2.7%のマイナスとなり、10月に実施された消費税増税の影響が大きく出たころで、コロナショックに見舞われました。しばらくは「我慢の時」でしょうか。

■オリンピック開催は遠のいた

――国内のことに関していえば、政府は新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を急ぎました。私権が大幅に制限される「緊急事態宣言」を可能とする内容ですが、立憲民主党や国民民主も賛成したため、国会で承認され、成立しました。東京オリンピックはどうなるのでしょうか。

石:安倍総理の「緊急事態宣言」の実施方針を聞いて、東京オリンピックを正常に開催する道が遠のいた、と感じています。開催するにしても無観客か、あるいは順延か、他国開催いう選択肢しかないのではないでしょうか。私自身は楽しみにしていたので、とても残念です。

――「正常な開催が遠のいた」と考えるのはなぜですか。森喜朗会長や小池百合子都知事、またIOC(国際オリンピック委員会)やJOC(日本オリンピック委員会)も開催の姿勢を崩していないように見えます。

石:根拠はシンプルです。常識的に考えて、WHOがパンデミック宣言を発し、日本もこれから緊急事態を宣言したとしたら、オリンピックを開けるでしょうか。終息宣言が出されるまでは、オリンピック開催はむずかしいでしょう。

石:たしかにIOCのバッハ会長は東京大会開催を全面的に支援する方針を明らかにしていますが、委員のなかからは開催の可否の決定は5月末には出さねばならないとする意見が出ています。準備の時間を考えると、どう延ばしても6月末には最終決定が必要でしょう。

 それまでに新規感染者をゼロに抑え込んで、なおかつ2週間は新規感染者が出ないことを確認しなければ、終息宣言は出せません。しかし、過去のパンデミックをみても、3か月という短期間で終息宣言を出されたものはありません。

 仮に日本で終息しても、遅れてはじまったアメリカの流行が本格化しそうです。また、これから冬に入る南半球の国々は、家にこもる時間が長くなり、感染が拡大しやすくなります。アフリカや南アジアなどの実態もよくわかりません。こういったことからも、開催を危ぶむ声が国際的にもさらに高まるのではないでしょうか。仮に開催したとしても、選手の間から不参加表明やボイコットの声が出てくるかもしれません。

■新型コロナウイルスが検出しづらい理由

――コロナウイルスについてもう一度教えてください。

石:コロナという名称は、ウイルスの形状が太陽のコロナに似ているから付けられました。非常にありふれたウイルスで、かぜの原因の一つでもあります。

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最終更新:3/25(水) 7:00
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