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新型コロナ感染者数グラフの正しい読み解き方

3/26(木) 6:01配信

JBpress

 (小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で流行しています。感染者と死者の数がどんどん増えていきます。先行きがどうなるか、見通せる人はいないように思えます。

仮想的な伝染病の感染者数を、均等目盛と対数目盛で表したグラフ

 ・・・でも、本当に見通せないのでしょうか? 

■ 対数グラフにすると、増加のパターンが分かる

 上の図は、ある仮想的な伝染病の感染者の増加を計算してグラフにしたものです。

 30日目には10万人弱だった感染者が、数日で100万人を超え、200万人を超え、とどまることなく増加するように見えます。

  けれども右の図のように、縦軸を「対数目盛(たいすうめもり)」にしてグラフを描くと、直線からずれていることが分かります。なんだか頭打ちのようにも見えます。実際、このモデルは1000万人で頭打ちとなるのですが、その兆候が読み取れます。

 「指数関数的」増加、つまり爆発的増加は、対数(たいすう)グラフだと直線となります。しかし、増加が鈍ると、直線からずれます。感染者の増加パターンは普通の目盛のグラフからは読み取りにくいのですが、対数グラフから読み取れるのです。

 「何当たり前のこと言ってるの?」と、思った方は、新型コロナウイルスの感染者のグラフの読み方が分かっていて、これからどうなるか見通せる方です。今回の記事を読む必要はありません。

 「ちょっと、日本語で説明してよ」と、思った方は、どうぞ続けてお読みください。

■ 感染者は指数関数的に増えていく

 感染者から未感染者へ、接触によって伝染していくタイプの感染症は、多くの場合、感染者が倍々で増えていきます。

 例えば伝染の結果、感染者が1人から1週間で10人に増えると仮定しましょう。

 すると感染者は最初1人でも、1週後には10人に増え、10倍となります。2週後にはさらに10倍になり、100人に増えます。3週後にはさらに10倍の1000人です。

 これが倍々の増加です。「指数関数的」増加、あるいは「鼠算(ねずみざん)的」増加とも呼ばれます。

 この調子で増えていくと、8週後に感染者は1億人になり、その1日後には日本の人口を超えます。世界人口の78億人を超えるのは9週と6日後です。指数関数的増加は驚くほど急速です。

 もちろん感染者の数が人口を追い抜くことはありえませんが、もしも人口を超えて指数関数的な増加が続くと、何が起きるでしょうか。計算を続けてみましょう。

 感染者の平均体重を50 kgとすると、全感染者の体重は23週と13時間で地球の質量を超えます。太陽の質量を超えるのは28週と5日後です。その12週後には天の川銀河の質量は全て感染者の質量に消費されます。

 36週あたりから、感染者を含む領域がブラックホールになるおそれが出てきますが、これは感染者を外部へ高速で送り出すことで解決するものとします。

 感染者の平均体積を50 Lとすると、45週後には、全感染者を含む領域の拡大速度が光速を超えます。これ以上この増加率を保つのは原理的に難しく、ここが増加の限界でしょう。

 この時点の感染者は10^45(10の45乗)人です。1年もしないうちに、1万個の銀河が感染者の体重として消費されました。

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最終更新:3/26(木) 6:01
JBpress

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