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東野幸治の“芸人イジり”本「この素晴らしき世界」にダウンタウンが登場しないその訳は?<インタビュー前編>

3/26(木) 6:00配信

ザテレビジョン

東野幸治の新刊本「この素晴らしき世界」(新潮社)が話題を呼んでいる。芸能界屈指のゴシップ好きである東野が、アクの強い吉本芸人たちを容赦なくイジり倒すエッセイは、たちまち注目を集め、発売から2週間足らずで、早くも3刷が重版される人気ぶりだ。

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なぜか自分に自信が持てない大御所芸人・西川きよし、悪口をエネルギーに突き進む南海キャンディーズ・山里亮太、スケールのデカいバカっぷりを発揮するピース・綾部祐二、恐ろしいほどの執念で紫綬褒章受章まで行き着いた宮川大助・花子…。「週刊新潮」に連載されたエッセイに加え、極楽とんぼ・加藤浩次について新たに書き下ろした「加藤の『乱、乱、乱』」、さらに、キングコング・西野亮廣による“東野幸治論”も特別掲載。毒舌を吐き続けても絶対に嫌われない男による、“吉本バイブル”とも言うべき一冊となっている。

ザテレビジョンでは、そんな“ベストセラー作家・東野幸治”に、全2回にわたるロングインタビューを敢行。前編となる今回は、本書「この素晴らしき世界」執筆の裏話を明かしてもらった。

■ 「第2弾を出したい。とは言うても、僕じゃなくて、別の吉本芸人に書いてほしいなと」

――今回、連載エッセイを書籍化するにあたって、改めて実感したことなどはありますか?

東野幸治:やっぱり吉本芸人って、みんな面白いし、楽しいなっていう。

今回取り上げさせていただいた芸人さんはあくまでも、たまたま僕が書きたいと思ったのがこのメンツだった、ということなんですよね。新潮社さんは、もっとビッグネームの芸人の話を書いてほしかったと思うんですよ、(明石家)さんまさんとか、ダウンタウンさんとか、今田(耕司)さんとか、ナインティナインとかね。きっと連載中も、それを毎週期待してたと思うんです。でも実際送られてくるのが、トミーズ健さんとか、中山功太とかの話ですからね(笑)、たぶん頭抱えてたんでしょうけど。なのに、一切文句言わずに付き合ってくれた新潮社さんってすごいなって、つくづく思います。僕が担当だったら絶対イヤですもん(笑)。

――じゃあ、紹介したい吉本の芸人さんはまだまだいる?

東野:できたら、「この素晴らしき世界2」を出したいんです。とは言うても、「2」は僕じゃなくて、別の吉本芸人に、その人が面白いと思う芸人さんのことを書いてほしいなと。なんせ芸人が6000人いる会社ですから、僕の人選ともかぶらないでしょうし、「この人は、この芸人のことを面白いと思ってるんやな」という面白さもあるし。そうやって、「2」「3」と、誰かがバトンをつないでいってくれたらいいなと思ってるんですよね。

■ 「苦情を言うてくる人はまだいないですけど、怒ってる人はいると思います(笑)」

――東野さんは、こうした芸人評は、もう書かれないんですか?

東野幸治:ええ、僕はもう、やりきりました。だから実は僕、この本、読み直してもいないんですよ。よく「改めて読み直してみて、どうですか?」って聞かれるんで、困ってるんですけども(笑)。

――ということは、書籍化の際、加筆や訂正もされていないわけですね。

東野:はい。僕としては、あの(連載)当時に思ったことを書き殴ってるだけなんで、後から筆を加えると、別のものになってしまうかなと思って。ただその代わり、本にするにあたって、新しく極楽(とんぼ)の加藤(浩次)のことを書いたり、キングコングの西野(亮廣)くんに僕のことを書いてもらったり。あと、紹介した芸人さんに関しては、ご本人に自分の近況を書いていただいて。

――各章の最後に掲載されている「最近こんなことしてます。」という付録コラムですね。芸人さんによって文章の長さも熱量もさまざまで、面白かったです。

東野:あれは、送られてきた文章をそのまんま載せてくれって、僕がお願いしたんですよ。面白いですよね、自分の今の活動のことを熱く書く人もおれば、ガンバレルーヤのよしこみたいに、これをチャンスにコラム連載の仕事が欲しいんじゃないかっていうくらいの長文を書いてくる人もいて(笑)。逆に、この本にまったく興味ないんやろなっていう文章もありますけど、それはそれで面白いと思うし。結果的に、文章のアマチュア軍団が書いたみたいな、まとまってない感じがいいなと思ってるんですけどね。

――いち読者としては、このコラムがあることで、安心して読むことができました。みなさん、東野さんに対して怒っていないんだなと(笑)。

東野:いや、中には怒ってる人もいてると思いますよ(笑)。今回、文章は全部本人に確認してもらってるんですけど、「あそこのくだり、書かないでもらっていいですか」っていうのは正直ありましたし。そういえば、陣内(智則)くんからもクレームが来ましたね、「僕の見え方、悪くないですか」と。一応、直してあげましたけど(笑)。

まぁ幸い、僕に面と向かって苦情を言うてくる人はまだいないですね。ただ、今回マネージャー経由でみなさんにこの本を送ったんですが、お礼を言うてきてくれたのは1人だけでした(笑)。

――ちなみに、どなたですか?

東野:みなさん察しがつくと思うんですけど、藤井隆くんです。ていねいなお礼のメールを送ってきてくれて。納得でしょ?(笑) でも、あとはまったく反応なしですから。だから、僕の本にムカついてるのか、それとも興味がないのか…それか、吉本興業のいつものルーズさで、そもそもその人に本が届いていないのか(笑)。

■ 「一緒に仕事をすることが多い先輩のことは書かないっていうのは、最初から決めてたんです」

――執筆中、大変だったことや苦労した点は?

東野幸治:連載に関して言うと、書きたい人から書いていったんで、最終回は誰にしようかな、というのはありましたね。

――連載の最終回は、リットン調査団の水野透さんでした。

東野:そうなんです。「最終回どうしよう」って考えてるときに、たまたま「水曜日のダウンタウン」(TBS系)を見てたら、「“未だにバイトしてる最も芸歴が長い芸人、リットン調査団”説」っていう企画をやってて、水野さんが出てきたんです。ただ、‎リットン調査団は、藤原(光博)さんのことをすでに書いてるんで、どうしようかなと思ったんですよね。当時、自分の中のルールで、コンビの片方を書いたら相方は書かない、ということに決めてたんで。‎

――そのルールを破ってでも、水野さんのことが書きたくなったわけですね(笑)。

東野:いや、だって水野さんが漫画喫茶で便所掃除してるんですよ? 「水曜日のダウンタウン」お得意の悪意ある編集で(笑)、「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ系)みたいな感じで、水野さんが便器を磨いてるんです。それを見てたらもう、いても立ってもいられなくなって、「水野さんのこと書こう!」と。新潮社さんも「ふざけんなよ! 最終回はダウンタウンだろ!」って、たぶん思ったでしょうけど、そこをぐっと堪えて、泣く泣く水野さんのことを書かせてくれて(笑)。ほんま、何度も言いますけど、こんなええ出版社はないと思いますね。本が売れないといわれるこのご時世に、ほんと申し訳ない(笑)。

――でも、東野さんだったら、ダウンタウンさんのことは、いくらでも書けるのでは?

東野:いえいえそんな、ネタなんて持ってないですし…。(明石家)さんまさんもそうなんですけど、一緒に仕事をすることが多い先輩のことは書かないっていうのは、最初から決めてたんですよ。距離が近い分、書きづらいですし、ダウンタウンさんのことを僕が書くのは恐れ多い、という気持ちもありますし。ダウンタウンさんも、僕に書かれたところで、どう反応していいかわからんと思うんですよね。原稿読んで、「ここは違うで」みたいなことも言いにくいでしょうし(笑)。

――執筆するにあたって、それぞれの芸人さんのバックボーンを調べたりされたんでしょうか。

東野:(宮川)大助・花子さんだけはちゃんと調べました。ただ、僕の思いが強すぎたのか、中山功太とか大西ライオンの原稿には何も文句を言わない新潮社の編集者の方が(笑)、大助・花子さんの章だけは「テイストが他と違うので書き直してください」って言うてきて、書き直したんですよ。

実は最初、もっと壮大な物語を書こうと思ってたんです。大助・花子さんのことは昔から興味があったんで。結果、31章の中の1章になってしまいましたけど、今はそれでよかったと思ってます。書いてみてわかったけど、僕には話が重すぎるなと。

もっと言うと、僕の中では、ダウンタウンさんを取り上げない代わりに、大助・花子さんを書くことによってダウンタウンさんのことも書いている、という意識もあったんです。そんな思いもあって、一番熱を込めて書いたら、まさかのダメ出しですからね(笑)。それだけ、僕もおかしなテンションになってたのかもしれないですけど。

■ 「親指クリックでも、書きたい人のことはすらすら書けるんですよ(笑)」

――ちなみに東野さんは、原稿はすべてスマホで書かれているそうですね。

東野幸治:はい、スマホです。必死に親指でクリックして書きました。結果的に、しゃべり口調やし、普段読書しない人でも読みやすい本になったかなと思ってるんですけどね。

面白いのは、親指でも、書きたい人のことはすらすら書けるんですよ、ダイノジの大谷(ノブ彦)くんとか(笑)。まさに親指が躍るんです。大谷くんはDJをやってますからね、躍らせてくれるわけですよ、僕を(笑)。ほんまに感謝ですね、大谷くんには。

――先ほど、「この素晴らしき世界」の第2弾を他の芸人さんに書いてほしい、とおっしゃっていましたが、おすすめの書き手はいますか?

東野:う~ん、東京と大阪、両方知ってる人がいいですもんね…やっぱり、千原ジュニアですかね、先輩も後輩も知ってるし。あと、宮川大輔なんかも、小気味いい文章を書いてくれそうな気がします。他には、ほっしゃん。(星田英利)とか、矢野・兵動の兵動(大樹)とか…。

――やっぱり30年くらいの芸歴がある方でないと、難しいんでしょうか。

東野:そうですね、やっぱり先輩の話は書いてほしいし、かつ、東京の若手のことも書いてほしいし。そう考えると、限られてきますよね。

いっそ、関西と関東の別バージョンで2冊出すのっていうのも、一つの手かもしれませんね。関西編はメッセンジャーの黒田(有)が書いて、みんなに嫌われるとか(笑)。関東は品川庄司の品川(祐)が書いて、で、やっぱりみんなに嫌われるっていう。

――(笑)。それでは改めて、本書「この素晴らしき世界」のPRをお願いします。

東野:この世界で30年以上お仕事させていただいてる僕が、いい思い出からイヤな思い出まで、いろんな思い出をこの本に詰め込みました。まぁ僕自身のエピソードは、具体的にはあんまり書いてないんですけども、行間から感じ取っていただけるとうれしいです(笑)。

※インタビュー後編へつづく(ザテレビジョン)

最終更新:3/26(木) 6:00
ザテレビジョン

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