国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回は、南フランスのマルシェ(市場)で見かけた女性たち。思わずシャッターを切った永瀬さんの気持ちとは。
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年配の女性3人が、南フランスのマルシェで楽しそうに立ち話をしている。最初は2人で話していて、後から真ん中の女性が話に加わり、ますます盛り上がっていた。年をとってから、こういう立ち話ができるコミュニティーというか、友達関係があることはすてきだなと思った。
マルシェには色とりどりのものが並んでいるから、カラーで撮る――。昔は僕もそういう写真を撮っていたと思う。でも、このカットをカラーにしたのは、3人の醸す幸せ感を、着ておられる服の色合いも含めてすくいとりたい、と思ったから。モノクロだとそういう要素が埋もれてしまう。
青い服の方はもちろん、ほかの2人も、おしゃれだ。そして、存在感や、味もある。買い物においでになる時間が、お友達と会う時間にもなっている。その余裕がすてきだな、と思った。
この時はデジタルカメラだけでなく、フィルムカメラでも撮った。デジタルに比べフィルムはすぐなくなるから、大量に持っていって何度も入れ替えたことを思い出す。デジタルカメラの普及で、フィルムを売っている場所を見つけるのが難しくなった。それでも、若い人の間でアナログ撮影が流行している影響か、少し前よりは手に入れやすくなったけれど。
(文・写真 永瀬正敏 / 朝日新聞デジタル「&TRAVEL」)
最終更新:3/27(金) 12:08
朝日新聞デジタル&[アンド]
































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