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フィンランドで産んでみた!(早くお家に帰りたい篇)|フィンランドで暮らしてみた

3/27(金) 6:00配信

幻冬舎plus

芹澤桂 (小説家)

出産後、スパルタ入院生活が始まった。

破水から始まった出産を終え、ほぼ丸一日まともに寝ていない状態で「じゃあ3時間起きに授乳してね」と夜中に赤子と病室に残された。

吐きまくった1日でもあったから体力を消耗している。

とりあえず、と病室に着いて私が一番にしたことは、赤子を愛でるのではなく、フィンランド名物ベリースープをカッとあおることだった。食堂の冷蔵庫にはいつでも飲めるよう、牛乳やジュース、それからとろりとしたベリーのスープが置かれていた。胃が空っぽだったので半リットルほど残っていた紙パックを病室まで持ってきて飲んだ。とりあえず血糖値を上げなければ。

気分はスポーツ選手だ。高校時代の剣道部の夏合宿を思い出した。飲まなきゃ死ぬ。私も赤子も干からびる。

なんでもセルフ

翌朝から始まった食事もなかなかのスパルタ具合だった。 

病室が並ぶ廊下の向こう側に食堂スペースがあり、朝昼晩それから夜食と食事の時間になると、自分で食事を取りに行く。セルフサービスである。

これが会陰切開やら寝不足やら満身創痍の体には結構辛く、なおかつ食堂の椅子は固く座るのさえ痛かったので修行の気分だった。腰を下ろすと突き刺すような痛みが走る。

病室で摂ってもいいことになっていたけれど、子供が乗ったキャスター付きベッドを連れているので、その上に食事のトレーを乗せて病室まで戻るのもまた大変だった。

食事の内容はいわゆる病院食だ。

健康的ではあるけれど、私の普段の食事に比べると野菜が少なく(あっても玉ねぎ、人参、きゅうり、トマトぐらい)、ああ予算的に大変なんだなぁと思わせる内容だった。

それでも人様に作っていただけるだけでありがたい。大食いの私は遠慮なく夫に生ハムだの野菜サラダだの追加オーダーして届けさせていた。別に病人ではないので咎められることもない。

量が足りない人は自由に取れるライ麦のパンやクラッカーで調整もできた。便秘対策だろうか、ドライプラムもたっぷり常備されていたのが面白かった。

日中の過ごし方ものんびりとはいかず、決められた時間になると自分で看護師や助産師、医師を訪ねてナースステーションに行かなければいけなかった。もちろん赤子を連れてだ。

なのでそれまでに授乳とおむつ替えを済ませておかなければならない。訪問客でも来ようものならなお忙しく、慌ただしい。

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最終更新:3/27(金) 6:05
幻冬舎plus

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