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校則廃止の世田谷区立中学 全入学者の半数近くが「越境」

3/28(土) 7:00配信

NEWS ポストセブン

 東京で観測史上最も早く桜が開花して5日、桜並木の坂道をのぼった先にある東京・世田谷区立桜丘中学校では、新型コロナウイルスの影響で規模は縮小されながら、無事、卒業式が行われた。

【別写真】卒業式で挨拶する西郷校長

 この日卒業を迎えたのは3年生184人。そしてもう1人、2010年より校長を務め、教員生活を終える西郷孝彦さん(65才)だ。

 西郷さんが校長として在籍した10年の間に、どの学校にもあたり前にあるものが、この学校では少しずつなくなっていった。まず、授業の始めと終わりを告げるチャイムが鳴らない。授業中に昼寝をしていても叱られないし、教員が強い口調で話すこともない。

 校則はなく、登校時間も服装も髪形も自由で、タブレットやスマートフォンを使用してもかまわない。教室に入りづらい生徒は、授業中に廊下に出て自学してもいい。

 これらは闇雲に廃止されたわけではない。「インクルーシブ教育」の観点から、“すべての生徒が3年間楽しく過ごせる学校にする”ために、試行錯誤の末になくしてきたのだ。

「インクルーシブ教育」という言葉は、昨今、急速に教育現場で広まってきた。障害のある子どもが、普通学級で教育を受けることを指すと誤解されがちだが、そうではない。障害がある子どもも、そうでない子どもも、「ともに学ぶ」ことを意味していると、教育評論家の尾木直樹さんは言う。

「インクルーシブ教育とは、子ども一人ひとりの個性や特徴を認め、多様性を受け入れるというもの。子どもが100人いたら、100人の能力を伸ばそうという考え方です。

 習熟度の低い子に合わせていると、ほかの子が適切な指導を受けられなくなるとか、学習が深まらないとか、以前はそんな意見が出た時期もありますが、それは誤解です。

 実際、きちんとインクルーシブ教育を行っている現場では、むしろ子どもたちの学力も伸びています」

 この世には、誰ひとり同じ人間はいない。しかし、これまでの学校教育は、生徒をひとつの型に押し込め、そこからはみ出した子どもたちを、「不良」や「落ちこぼれ」とレッテルを貼って排除してきた。現代ではそれを「不登校児」などと呼び方を変えただけだと、尾木さんは続ける。

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最終更新:3/28(土) 7:39
NEWS ポストセブン

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