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「ワイン農家になる!」会社を辞めて移住した親友へ/誰かの物語を花束に

3/28(土) 6:06配信

朝日新聞デジタル&[アンド]

【連載】花のない花屋

この連載では、読者から募ったエピソードを元に、フラワーアーティスト東信さんが世界にひとつだけの花を作ります。その花を通して紡ぎだされる、贈り主と大切な人の物語をお届けします。

〈依頼人プロフィール〉
野口陽菜さん 30歳 女性
東京都在住
会社員

     ◇

親友と出会ったのは、大学時代。同じフランス語学科で仲良くなり、それぞれ同じ時期にフランスに留学しました。現地では言葉がなかなか思うように話せない悔しさや、慣れない環境の中での苦労をお互いに吐き出し合い、切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲です。

大学卒業後は、私も彼女もフランスとは関係のない企業に就職しましたが、3、4年くらい経った頃でしょうか、突然、彼女は「やっぱり会社員は向いてない。フランスでワイン造りを勉強する」と言って会社を辞め、単身フランスへ旅立ちました。

フランスではアルザスや南仏などあちこちのワイン生産地を回り、農家で収穫や醸造を手伝いながらさまざまなことを吸収して帰ってきました。帰国後はまた日本の企業に就職し、働きながらワインの勉強を続けていたようです。そして昨年末。とうとう彼女は「ワイン農家になる!」と言って会社を辞め、長野へ移住してしまいました。

今は他の方が経営するワイナリーで働きながら、自分のブドウ畑の準備を進めています。もちろん金銭的な不安が頭をかすめることもあるようですが、日々慣れない耕作やまき割りをしながら軽トラを乗り回し、文字通り体当たりで夢に向かってがんばっています。

思えば、昔からどこか筋が一本すーっと通っていて、やると決めたら自分が満足するまでとことんやるのが彼女でした。私はその姿に何度も背中を押され、刺激を受けてきました。今はフランスとはまったく関係のない仕事につき、昨年結婚して夢を追いきれなかった私から見ると、 彼女はとてもまぶしく、輝いて見えます。
 
そこで、新しい人生の一歩を踏み出した彼女へ、心からの応援の気持ちとこれまでの感謝を込めて、花束を贈りたいです。

小柄で可愛らしく、みんなから愛される女性ですが、芯の強さは人一倍。フランスの文化やワインが好きなので、どこかフランスを思わせるスモーキーで大人っぽい雰囲気がありながら、ワインをイメージさせるアレンジにしてもらえるとうれしいです。

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最終更新:3/28(土) 6:06
朝日新聞デジタル&[アンド]

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