ここから本文です

新型コロナをめぐる「陰謀説」! 私たちが注意すべきこと

3/28(土) 20:21配信

ハーパーズ バザー・オンライン

ヨーロッパで新型コロナウイルスが“現実”のものになる前、私(筆者)は、土曜日のブランチに、予想外の陰謀説を唱える人とエッグフロレンティーンをシェアしていた。賢く、ふだんは冷静なその友人が、ウイルスは武漢の研究所から漏らされたという「信頼できる情報を得た」と言うのだ。何故そんなことを?過密な世界の人口を減らすためだ。

【写真】医師が解説。新型コロナウイルス感染を防ぐため、今とるべき10のアクション

つまるところ、高齢者や弱者がもっともハイリスクなのだからと、彼女は理由づけた。そんなの、疑わしいと思わない?正直言って、彼女の意見は私を不安にさせ、私はミモザ(カクテル)を1杯余計に飲んでしまった。

が、それから2週間経ち、予想通り新型コロナウイルスに関する陰謀説はパンデミックと同じくらい急速に広まっている。今やソーシャルメディアにはこのグローバルな健康危機に関するフェイクニュースが咲き乱れ、中にはCIAが中国に戦争を仕掛けるために企てた細菌兵器だと言う人までいる。(もちろん、中国は逆だと主張)。

また、大手製薬企業が市場を操り、ワクチンで途方もない利益を得ようとウイルスを導入したのだと確信している人もいる。一方、コウモリのスープ、というかコウモリを食べるとCOVID-19にかかると言っているソーシャルメディアアカウントも相次いでいる。

しかし、人の命がかかっている時に、情報発信チャンネルが不安をあおる嘘や“魔法の治療薬”を唱える極めて不正確なレポートの塊になっていて、陰謀説はウイルスそのものと同じくらい危険なのではないだろうか?

ケント大学の社会心理学教授カレン・ダグラスは、そう確信している。

「危機に瀕した時に陰謀説は顕著になりますが、それは状況の不確実性と大いに関係しています。人々は重要なことが起こるとそれに対する説明を求めますが、コロナウイルスのケースのように、公式チャンネルからの情報が不完全だったり一貫性がなかったり、次々に明らかになっていったりすると、私たちはより速く、単純な説明を求めることが多いのです」と、彼女。

「が、陰謀説は、不確実を減らすというより、実際は高めてしまうことが研究からわかっています。無力感や失望感も高まります。人々は(フェイクニュースから)力や信頼感を得ようと期待するのですが、逆に恐怖を注ぐので気分がもっと悪くなるのです」

この見方には、陰謀説心理学の専門家でアングリア・ラスキン大学教授のヴィレン・スワミも同調する。
「いま現在、ウイルスについての情報は日ごとに、ほぼ1時間単位で変化しています。陰謀説は、自分たちでコントロールできない時にその仲介的感覚を与えます。つまり、もし自宅で自主隔離していて不安で恐ろしくて世間から切り離されてしまった気持ちになった時、陰謀説は問題を人格化するのに役立つのです」

「それが中国の研究所職員であれアメリカ政府であれ、突然、誰か責める相手が見つかるわけです。ここで問題になるのは、不安になる代わりに、何か行動を起こす承認を得てしまうことです。それが、外国人嫌悪が急増したり、馬鹿げた、潜在的に非常に危険な誤った医学的アドバイスを信じてしまったりすることなどにつながります」

結果として、新型コロナウイルス大流行ではすでに、世界中で人種差別や東アジアコミュニティをターゲットにしたヘイトクライム(憎悪犯罪)が急激に高まっている。トイレットペーパーの輸出がストップするという一つの噂がスーパーマーケットでの買い占めをあおるなど、メッセージグループが新型コロナウイルスに誘発されたパラノイアを反響させてしまっている。

トランプ支持のQアノン陰謀説のフォロワーは、“魔法の鉱液”と称する薬物を宣伝していると報じられている。この“治療薬”は、自閉症からガン、COVID-19まで何でも治すのに役立つと誤った主張をしているもので、漂白剤が含まれているのだ。

「陰謀説は間違いなく、精神的にも肉体的にも、個人の健康に有害なものになり得ます」と、ダグラス教授は説明する。「が、社会の健康も蝕みます。専門家や科学、政府への不信感を助長するので、その代わり必然的に非公式な情報源を頼りにするようになるのです」

1/2ページ

最終更新:3/28(土) 22:42
ハーパーズ バザー・オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事