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ミスチル桜井和寿"無垢100%な歌唱”が日本ロックの「若さ」を体現――近田春夫の考えるヒット

3/28(土) 17:00配信

文春オンライン

『Birthday』(Mr.Children)/『AS ONE』(UVERworld)

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“若さ”は、ロックのことを考えるとなるとどうしても避けて通れぬ“ワード”だ。

 そこには大雑把に分ければ、肉体的/生物学的な視点/切り口のある一方、メタフィジカルといえばよろしいのか、いわゆる“精神的”に語られる部分も、またあるだろう。

 私がロックの虜になった頃、憧れのミュージシャンたちはみな間違いなく20代で、それこそDon't trust over 30などと焚きつけられては超納得もしていたのだから、我ながらなんとも可愛かったもんだわいetcと、前に書いたかどうかは忘れたが、当初、ロックの内にはそれこそ様々な“世代間闘争的”挑発も散見することが出来たと記憶する。

 実際、上の世代には「ロックの標榜するものが思想や表現基準のメインストリームになることには耐えられぬ」。もう少し意地悪く書けば、ついて行けなくなった人たちも相当数いたように思う。三島由紀夫など、まさにその“代表格”だったのではないか?

 時代/価値観のダイナミックな変化に、築き上げてきた「美学/哲学」はもはや通用しなくなってしまった。この先に希望はない……。挙げ句の果てに選んだのが、かの切腹の道だったかもと、当時の私はそう推測もしたものだが、果たしてどーなんざんしょね。

 閑話休題。

 さて、冒頭述べたようにロックにおける“若さ”の解釈はいく通りかが可能だとして、その方向や発露や好みの違いはといえば、やはり背景となる文化やお国ぶりに拠るところも大きいだろう。当然ながら、日本のロックならではの“若さ”もあると思っている。

 よく“カワイイ”という。これも考えようによっては一種若さにまつわる語であろう。訳せば「ついついヨシヨシしたくなる」ぐらいのところだとは思うが、さすがというか、我が日本ではそんな“可愛らしさ”をチャームポイントとするロックバンドも珍しくない。それは他の国ではなかなか見られぬことだろう。

 そして、この“カワイイ”を「社会的に未成熟なものへの愛溢れる眼差しをあらわすいい回し」だとするのが許されるのであれば、日本のロックにあって他の国のそれにないものとはすなわち、モラトリアム状態を強く肯定する体質である。つまり「いつまでも大人になりたくない、子供でいたい」というところでの、若さへの憧憬といおうか。いや、若さというよりは、ひょっとして“青さ”の方が相応しいのかも知れないが、いずれにせよそうした文脈に於いて『Birthday』などを聴くと、一切の汚れもなき少年のような、桜井和寿の、無垢百%な歌唱こそ実に日本のロックならではの若さを体現してくれているなぁと、しみじみと感じ入った次第の俺だったが、それこそ「名は体を表す」とはこのこと。バンド名が、Mr.Childrenだもん。いってみれば“お子ちゃま達さん”ですもんね、へい。

 UVERworld。

 演奏/歌唱、録音技術、ともに大変にハイレベルだった。

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

近田 春夫/週刊文春 2020年3月26日号

最終更新:3/28(土) 17:00
文春オンライン

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