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【ヒットの法則185】フェラーリ612スカリエッティは途方もない性能を備えた大人のクルマ

3/29(日) 18:30配信

Webモーターマガジン

センスも男も磨いてこないと乗りこなせない

2004年に456Mの後継として登場したフェラーリ612スカリエッティ。大排気量のV12エンジンをフロントに搭載した4シータークーペは、技術や性能というより、クルマ作りの世界観のようなもので乗る者を圧倒した。612スカリエッティはどんなモデルだったのか、Motor Magazine誌のテストを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年5月号より)

【写真】リアビューやインパネ、エンジンなどを見る(全9枚)

俳優の石田純一は誤解されている。代表作と呼べる出演作品も最近は少なく、テレビのバラエティショーやクイズ番組でお茶を濁しているばかりの軽薄な中年男。妻子を捨て、モデル上がりの女性のもとに走った浮気男。「不倫は文化」と言い訳する往生際の悪い男。テレビのワイドショーで伝えられるイメージは、悪意に満ちたものばかりだ。

その「不倫は文化」騒ぎの渦中で、ワイドショーのリポーターたちに取り囲まれる彼の受け答えを、傍らで見聞きしたことがある。リポーターたちが繰り返す稚拙な誘導尋問にも、丁寧に、そして言いたいことを明確に伝えようとする真摯な姿が、失礼ながら意外だった。全然、軽薄じゃない。立派な男。僕も、世間のイメージに捕われていた。

テレビでは文脈を無視した編集が行われるから、「不倫は文化」というところだけが切り取られて、ひとり歩きしてしまった。彼が言いたかったのは、「不倫が文化」なのではなく、世界と日本の歴史をひもといてみれば、現代の日本ならば不倫と呼ばれるような行為を題材や契機として、さまざまな芸術作品が生まれているし、それが文化を彩ることにもなった、ということだろう。

もうひとつ、好感を得ることになったのは、彼がその場から立ち去る時にライトブルーメタリックのフェラーリ456GTに乗っていたからだ。とてもよく似合っていた。

456GTのカッコよさ、エレガンス、粋な様子をどう伝えたらいいだろう。ミッドにエンジンを搭載した、やる気マンマンのスポーツカーではなく、フロントエンジンのフェラーリ。普段はエンジンをギンギンに回す必要のない、大排気量12気筒のフェラーリ。

加えて、彼の456GTのボディカラーがよかった。フェラーリというと、条件反射的に赤を連想してしまうが、実はフェラーリは青も似合うのだ。アズーロという「青」を表すイタリア語は、モータースポーツ以外のイタリアのスポーツのイメージカラーだ。その青を淡くしてメタリックを加えた456GTを選ぶのには、相当のクルマ道楽を経た上で、センスも男も磨いてこないとできることではない。

世間のイメージ通りの男だったら、わかりやすい真っ赤な360モデナにでも乗っているのが関の山だったろう。

現在のF430、その前身F360モデナ、さらに以前のF355、もっと遡れば348や328など、V8エンジンを搭載するフェラーリは順当にモデルチェンジを繰り返して来ている。混乱はない。

しかし、12気筒を積む大型フェラーリの系譜は、わかりやすいとはいえない。456GTの後継、456MGTは2+2の4シーター。一方、それに代わったはずの550マラネロ~575Mマラネロは2シーター。同じようにフロントにV12を置いても、ガラリと路線を変えた。

456GTの前のテスタロッサ~512TR、もっと前の512BBは水平対向12気筒をミッドに置いた2シータークーペだ。

2シーターと4シーターは併存していたが、その棲み分け方は明確ではなかった。なんとなく、フェラーリが時代の様子を見ながら、大型12気筒モデルの内容を変えているのではないか。時代がフェラーリに求めるものをサーチしながら進めているように見える。

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最終更新:3/29(日) 18:30
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