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「コロナ相場」で私は地獄に落ちた

3/29(日) 5:56配信

デイリー新潮

“株”の世界には、〈下げ相場は玄人相場〉なる格言も存在する。ここにきて回復の兆しを見せ始めたマーケットだが、いわずもがな、依然として予断を許さない。コロナ相場に大金を注ぎ込んでしまった素人トレーダーたちは、“地獄”を見ていた。

「含み損が780万円に達した時はさすがに血の気が引きましたよ……」

 外資系メーカーに勤める40代の男性は、乱高下するコロナ相場の先行きにいまも戦々恐々としている。

「株式投資を始めたのは2年前で、当初は現物取引だけでしたが、最近はリターンの大きい信用取引が中心。具体的には、今年1月に任天堂と化粧品会社のコーセーの株を買っています。任天堂は4万2000円で500株、コーセーが1万5000円で400株くらい。一時はふたつ合わせて20万円のプラスだったのですが、そこでコロナ騒動に見舞われたのです」

 どちらの株も2月後半から値を下げ始めたものの、“コロナ相場”を甘く見て損切りをためらったという。

 それどころか、

「多くの企業が在宅勤務に切り替えたというので、3月に入ってからテレワーク関連のアセンテック株を2800円で1000株購入したんですね。これが裏目に出てしまった。わずか2週間後に株価は1700円台まで急落しました」

 1月に買った株もガクンと値を下げ、日経平均株価が1万6000円台に突入した3月13日には、含み損が約780万円に膨れ上がった。

 しかも、信用取引だったがゆえに、

「このまま株価が下がれば強制決済されてしまうので、あらゆる口座から合計800万円をかき集めて証拠金に充てました。この間、株価が持ち直し、どうにかクビの皮一枚で繋がった格好ですが、今後、五輪延期を巡って再び株価が暴落したらと考えると、生きた心地がしません」

ふつうの人が大損

 同じく、無謀にも荒れ相場に挑んだのは、30代の営業マンである。

 セガサミーや楽天の株に狙いを定め、3月2日から空売りと信用買いを繰り返していたそうだが、

「乱高下する相場に翻弄されて、気づけば50万円のマイナス。もうダメだ、手仕舞いにしようと後悔したのですが、次の瞬間、“もしかするとここが底値じゃないか”と思い直したんです。それで、6日に軍資金のすべてを“買い”に突っ込みました」

 その直後に地獄が待ち受けているとは知る由もなかった。

 週明け9日の日経平均株価は、米・ダウ市場で史上初めてサーキットブレーカーが発動したことを受けて大暴落。東証の主要株は総崩れとなった。

「信用取引の決済期限は半年後なので、たとえ含み損が出ても夏までにコロナが終息すれば問題ない、と必死で自分を励ましていたのですが。結局、マイナスが100万円を超えたところで堪らず損切りしました。当分、株には触りません」

 株式ジャーナリストの天海源一郎氏によれば、

「コロナ相場で最も苦しんでいるのは、コツコツ貯めたお金で信用取引をしていたふつうのサラリーマンです。そもそも、貯金がない人に株式投資はできないし、お金持ちは信用取引などしません。これだけ株価が急落すると追加の証拠金を納める必要がありますが、ふつうの人には貯金をすべて吐き出す勇気はない。となれば、どんなに安くても株を売るしかありません。結果、まじめに働いてきたサラリーマン投資家が地獄を見ることになったのです」

 相場格言に曰く、〈落ちてくるナイフは掴むな〉。“素人”の皆様は、くれぐれもコロナ相場を好機と勘違いしませぬように。(週刊新潮4月2日号掲載記事をもとに加筆・編集)

週刊新潮WEB取材班編集

2020年3月29日 掲載

新潮社

最終更新:3/29(日) 5:56
デイリー新潮

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