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メジャーのような大胆な守備シフトは効果があるのか?/元中日・井端弘和に聞く

3/30(月) 11:02配信

週刊ベースボールONLINE

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代、7度、ゴールデン・グラブ賞に輝いた、元中日ほかの井端弘和氏だ。

数字に支配され過ぎたMLB。流行の守備シフトの是非/石田雄太の閃球眼

Q.昨年のことですが、東京ドームで行われたMLB開幕戦で何度か大胆な守備シフトを目にしました。実際に、シフトを張った方面に打球が飛ぶこともありましたが、シフトがなければそもそもセカンド正面であった(シフトのせいでマリナーズのゴードンが横っ飛びで捕球)ような打球もあり、いまいちその効果がよく分かりません。このような大胆なシフトをどう思いますか?(東京都・18歳)

 メジャーではデータで確率の高いほうをケアしてアウトを稼ぐために守備シフトを行うわけですが、私個人の意見としては、100パーセントはないわけですし、データに従って多少は……例えば二遊間を詰める、三遊間を詰める、もしくは意識をそちらにおくなどの工夫は当然すべきであっても、いわゆるオーソドックスな定位置から(データの示したとおりに)大きくポジショニングを変えて守ることに関しては疑問を持っています。65パーセントの確率があったとしても、どこで35パーセントに当たるか分かりませんしね。止めたバットだったり、どん詰まりの打球だってあるわけです。メジャーではその35パーセントに当たってしまえばアンラッキーで済ませるようですが、私は大胆なシフトを取らなくても(いや、むしろ取らないほうが)、1試合、1シーズンをトータルで考えると、守備率も高くなり、アウトにできる数も多くなると確信しています。

 百歩譲ってランナーがいなければいいのか、先頭バッターだったらどうか、とポジティブに考えてみたこともありましたが、どう想定してみても私の考えは変わりませんでした。多分、日本人のどのピッチャーに聞いても「シフトを敷かれるのは嫌だ」と答えるのではないでしょうか。

 質問のMLB開幕戦は私も見ていました。ランナー一塁で、左バッターを迎えた際に、右方向を固めるために三塁手が一、二塁間を守り、実際にその正面に打球が飛びました。その選手がスローイングミスを犯し、二、三塁に。果たしてこれはシフトが成功したと言えるのでしょうか(打球方向だけはデータどおりですが)。もちろん、送球ミスは結果論ですが、通常シフトで「引っ張りケア」という情報があったならば、二塁手がさばいていて、併殺は無理でも1つアウトを取っていたかもしれません。抜けていても一、三塁……。別のケースではシフトを敷いたことにより、本来ならセカンド正面の打球をゴードンが飛びついて間一髪抑えたというシーンもありました。

 イチローさんが引退会見の席で「頭を使わなくてもできてしまう野球」を危惧されていましたが、データを偏重するスタイルもその1つなのではないでしょうか。バッターの状態などを見ていると、データと真逆のことを感じる場合もあります。データに振り回されず、参考にするくらいでちょうどよいのだと私は思います。

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。

『週刊ベースボール』2020年3月9日号(2月26日発売)より

写真=BBM

週刊ベースボール

最終更新:3/30(月) 12:14
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