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中国経済は緩やかに回復も自国だけ助かる道はない

3/30(月) 15:27配信

NRI研究員の時事解説

中国は投資資金の逃避先か

2月時点では、中国は新型コロナウイルス感染拡大のまさに中心地であり、その封じ込め策のため、経済活動は主要国の中で最も悪化していた。ところが3月に入ると、情勢は一変してしまったのである。

中国では感染の拡大ペースが明確に鈍り、封じ込め政策が奏功しているように見える一方、欧米では爆発的な感染拡大が見られ始めた。中国の武漢市の封鎖に倣うように、欧米諸国では都市封鎖(ロックダウン)が進められ、経済活動は急激に悪化していったのである。

他方、感染拡大に歯止めが掛かってきた中国では、経済活動は徐々に再開されていき、欧米とは対称的に、経済情勢の改善が展望できる情勢となってきた。こうした中国と他国との明暗を象徴したのが、米アップル社の発表だろう。3月13日にアップルは、中国本土の42店舗の営業を再開する一方、逆に中国本土以外の店舗を全て閉鎖することを発表したのである。

投資家にとっても、中国は今や相対的に安全性の高い地域、いわゆるリスク回避先となってきた感もある。これを端的に示しているのが、株価の動向だ。欧米など世界の主要市場では、株価は年初から2割~3割低下している。その中で、中国本土株だけが、より小幅な下落率にとどまっているのである。3月30日時点では、上海の株価指数は年初から10%程度の下落、深センの株価指数は年初から3%程度の下落である。

中国の経済活動は持ち直し

マシューズ・アジアによると、中国56都市の消費者を対象に2月下旬から3月初旬にかけて行われた調査では、8割以上が向こう1年に収入が現状維持あるいは増加すると回答したという。その回答比率は昨年12月時点での水準を依然下回っているものの、1月時点と比べると約10ポイントの改善となっている。

中国政府の人力資源・社会保障部によると、1月の春節(旧正月)で帰省した人の80%にあたる1億人の出稼ぎ労働者が、既に職場に復帰したという。物流大手のフェデックスの最近の報告によれば、中国で操業を再開したのは製造分野の小規模企業の約3分の2、大企業の90~95%に上る。

フィナンシャル・タイムズ紙は、あるフードデリバリープラットフォーム上のレストランや食品供給業者、コンビニエンスストア100万軒のデータを比較し、2月初めには80%以上が休業状態にあったが、現在では60%以上が営業を再開したと指摘している。

中国の製造業の活動については、V字型回復の様相を呈し始めていると見られる。しかし、国内でのサービス消費については、回復はなお緩やかである。中国当局は、新型コロナウイルスの感染が再び盛り返すかどうかが分からないため、企業活動の制限の解除も慎重に進めている。北京では、一部のバーやレストランが営業を再開したものの、新たな規制によって、顧客は数フィート離れてテーブルに着席することが求められている。また、北京の多くの集合住宅では依然として封鎖措置が取られているという。

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最終更新:4/1(水) 8:42
NRI研究員の時事解説

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