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窪田正孝と二階堂ふみの関係を印象づける回に 『エール』第1話で伝えたシンプルなメッセージ

3/30(月) 12:08配信

リアルサウンド

 物語はなんと紀元前から始まった。NHKの連続テレビ小説『エール』が第1週の初日を迎え、斬新なオープニングと1964年の東京オリンピックでの出来事が、本作が伝えたいテーマと、古山裕一(窪田正孝)と関内音(二階堂ふみ)夫婦の関係を印象づける回となった。

【写真】窪田正孝の撮り下ろしカット

 まず一風変わったオープニングに注目したい。「紀元前1万年」の文字とともに原始人に扮した窪田と二階堂が現れ、「古来音楽は人とともにあった」の文字が画面いっぱいに映し出された。そして原始人が音楽を奏でるシーンを皮切りに、窪田と二階堂が音楽とともに歩んできたさまざまな人々を演じる姿からは、どんな時代も音楽は人々の心に寄り添ってきたのだと伝わってくる。

 テーマ曲は流れず、画面中には無尽蔵に文字が浮かぶ。バラエティ豊かな演出がなされ、窪田は突然踊り出す。そんな真新しいオープニングに戸惑った視聴者もいたかもしれない。しかし、第1話が伝えたいことはきわめてシンプルだ。「音楽は素晴らしい」。これから始まるのは、昭和という激動の時代に音楽の力で人々を勇気づけようとした作曲家の物語。そのために「音楽の力」を示した。

 もうひとつ印象深かったのは、1964年東京オリンピックのシーン。開会式の音楽を担当した裕一は、達磨大作(加藤満)から言われた「国民に勇気と希望を与え、世界に恥じぬ音楽を!」という言葉を思い出し、プレッシャーからトイレに籠もっていた。裕一を見つけた音は「大丈夫! あなたの曲はすばらしいんだから!」「あなたの曲を世界中の人が聴くのよ。ずっとかなえたかった夢でしょ?」と叱咤激励する。それでも裕一はたじろぐが、裕一の曲に励まされたという警備員(萩原聖人)の言葉が彼の背中を押す。

 作曲する裕一の真剣な顔つきから、彼の音楽へのひたむきさを感じた。プレッシャーで吐き気を催したり、音に励まされても心の準備ができない姿からは、第1週で語られるであろう彼の気弱な一面を感じさせる。また音の凛とした顔つきや裕一をグイグイ引っ張っていく姿からは、音が誰よりも裕一の才能を信じていることが伝わってくる。「おしどり夫婦って感じとは違う」と言われていた2人だが、会場に向かう2人の背中からは、さまざまな苦難をともに乗り越えてきた、そんな強い絆が感じられた。

 終盤、時代は明治42年、裕一の誕生にまで遡った。音楽が奏でる人生の物語が始まる。

片山香帆

最終更新:3/30(月) 12:08
リアルサウンド

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