今回から3回連続で取り上げるのは「勇気づけ」。アドラー心理学の中心的なテーマです。「できない」「無理……」と思う前にまずは、自分の中にある「勇気」の芽を探してみましょう。雑誌『日経ヘルス』から、アドラー心理学に基づいた「ココロの救い方」を発信します。
アドラー心理学は、よく「勇気づけの心理学」と呼ばれます。ここでいう「勇気」とは、屋根から飛び降りるような勇気とは違います。危険を省みず、無鉄砲なことをするのは、“蛮勇”というものです。
アドラー心理学が伝える勇気は、あらゆる人のココロの中にある、行動を生む力のこと。「一歩前に踏み出そうとする気持ち」といえばいいでしょうか。例えば、オープンしたてのカフェに一人で入ってみるときや、習い事を始めるときは、ちょっとしたエネルギーが必要です。行動を後押ししてくれるこのような力を「勇気」と呼ぶのです。
カフェに入るぐらいならささいなことですが、こうした小さな勇気を大切に育てていけば、やがて、あなたが生きていくうえでとても貴重な力になります。
ただ、私たちのココロの中には、勇気をくじき、萎えさせようとする作用があるのです。
先に挙げた習い事を例にしましょう。あなたは子供のころから、バレエに憧れていたとします。最近、近所に「大人のバレエ教室」があるのを見つけました。それが、ずっと気になっているのですが、頭の中にはなぜか「やらない理由」が次々と浮かんできます。「体が硬いから無理」「どうせすぐ挫折する」「仕事も忙しいし」……。
似たようなことは、仕事でも起こります。新プロジェクトのアイデアを上司が募っているとしましょう。自分の考えを提案しようと思ったとき、ふと「私の意見なんか採用されない」「私がいわなくても、きっと誰かがいう」といった言葉が頭に浮かびませんか?
こんなふうに、やらない理由を挙げて行動にブレーキをかけることを「勇気くじき」といいます。多くの場合、その根っこには「失敗したくない」「嫌われたくない」といった、人目を気にする気持ちがあります。
でも、失敗するかどうかなんて、やってみないと分からないですよね。やる前から心配ばかりしてやらないなんて、もったいないことです。
さらに、考えてみましょう。勇気くじき思考に陥っている人は、よく「私には、踏み出す勇気はありません」といいます。でも、もし本当に勇気がないのなら、勇気くじきも起きるはずがないのです。
頭の中に「バレエをやらない理由」が次々と浮かぶのは、あなたの中に「バレエをやってみたい」という気持ちがあるからでしょう? それこそが、アドラー流の勇気。すでに、あなたの中にあるのです。勇気くじきという足かせさえ外せば、勇気は自然に表に出てきます。
今月のレッスン1は、自分の中の「勇気くじき」を思い出してみましょう。やらない理由が浮かぶところにこそ、やりたい気持ちがあるのですよ。
Lesson1 「やらない理由」を探して勇気を閉じ込めていない?
何か新しいことに興味がわいたとき、つい「やらなくてもいい理由」を探していないだろうか。それらの理由はたいてい、失敗や、恥をかくことを恐れる気持ちから生じる。結果を気にして、自分の中の「一歩前に出る勇気」を封じ込めてしまう、もったいないココロの癖だ。
最終更新:3/30(月) 11:19
日経ARIA































読み込み中…