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ロレンソ・サンス元会長が死去。その最後はあまりに残酷に…

3/31(火) 21:11配信

footballista

文 木村浩嗣

 3月21日、元レアル・マドリー会長のロレンソ・サンス氏が亡くなった。76歳だった。

 1998年、Rマドリーに32年ぶりとなる欧州タイトルをもたらした(7度目のUEFAチャンピオンズリーグ制覇)ことで知られ、在任5年間(1995-2000)での獲得タイトルはCL優勝2度、リーグ優勝1度、スペインスーパーカップ1度、インターコンチネンタルカップ1度。

 サンスが古豪復活への道を拓き、後任のフロレンティーノ・ペレス会長によって、クラブは世界一の座へと上り詰めていくことになる。

自宅で耐え、症状が悪化

 訃報から4日前の3月17日、新型コロナウイルスの陽性で入院したことが、息子であるフェルナンド氏(元マラガ会長)によって明らかにされたばかりだった。

 フェルナンド氏によると、サンス氏は5日間にわたって38度の熱が出ていたが、スペインで最も感染者数の多いマドリッド自治州(執筆時の3月30日で感染者数は2万4090人)の医療施設に負担をかけたくないがために自宅で耐え続け、呼吸困難になって病院の扉を叩いたという。

 現在マドリッド州とバルセロナのあるカタルーニャ州(同、感染者数1万6157人)のベッド不足は深刻で、催し物会場やホテルなどに仮設病棟を作っても追い付かず、政府は緊急を要するICU(集中治療室)での治療が必要な患者を他の州へ移送することも検討中だ。

家族に会えない残酷な最期

 家族によって伝えられた元会長の最期は、新型コロナウイルスの残酷な側面を教えてくれるものだった。

 感染の危険があるため、入院後は面会もできず、病状が悪化しても付き添うことができず、もちろん死に目に会うこともできず、葬儀も許されなかった。

 亡くなった後も埋葬された場所は知らされていたものの、最終的に火葬されたことも知らなかったという(スペインでは土葬が普通)。

 つまり、入院したのが最後、次に会った時には遺灰になっていた、というのだ。家族を失うだけでも辛いのにお別れができないなんて、本人にも残された者にも、これ以上残酷な仕打ちがあろうか。

 さらに、この孤独な死はICUで治療にあたった医師たちにも心の傷を残す。状況がさらに深刻なイタリアからは、最後のお別れをビデオ通話で行っている、というニュースが伝わって来ている。

 もちろん、ウイルスには身分も地位も関係ない。元会長の場合はニュースになったが、スペインでは同じように亡くなった人が30日現在で7340人もいる。

 いつ感染のピークが来るのか、ということばかりが話題になり、死亡者の増加ペースが落ちたことが良いニュースだとされているが、この数字の一つひとつが残酷な死であることを忘れないようにしたい。

最終更新:3/31(火) 21:11
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