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日銀短観が示す新型コロナウイルスの悪影響は未だ中間報告

4/1(水) 10:03配信

NRI研究員の時事解説

企業の景況感は短期間で悪化

日本銀行が4月1日に発表した「短観(3月調査)」は、新型コロナウイルス問題の影響によって、日本企業の景況感が短期間のうちに悪化したことを確認させるものとなった。

ただし、総じて懸念されていたほどの劇的な悪化には至らなかったとも言えるだろう。しかし、日々刻々と事態が悪化している新型コロナウイルス問題が引き起こす企業経営や経済への影響は、今回の調査にはまだ十分に反映されていないと考えられる。この点から、今回の短観はなお「中間報告」にとどまっているとみるべきだ。

大企業製造業の現状判断DIは「-8」(市場予想は「-10」)、大企業製造業の現状判断DIは「+8」(市場予想は「+2」)と、それぞれ前回調査から8ポイント、12ポイントの大幅悪化となった。大企業製造業の現状判断DIの悪化は5期連続であり、マイナスとなったのは2013年3月調査以来、6年ぶりだ。

他方、今回の調査でより特徴的だったのは、通常は、製造業と比較して景況感の振れ幅が小さい非製造業で、現状判断DIが大幅に悪化したことである。規模別にみると大企業、中堅企業、中小企業ともに現状判断DIは大幅に悪化した。さらに、先行き判断DIに関しても同様であり、特に中小企業では18ポイントの大幅悪化となり、新型コロナウイルス問題の影響が色濃く表れている。

新型コロナウイルス問題の経済への影響は目まぐるしく変わる

今年1月に一気に浮上した新型コロナウイルス問題が、日本企業の経営や日本経済に悪影響を与える経路は、次のように推移してきた。
(1) 渡航制限によるインバウンド需要の悪化
(2) 中国経済の悪化
(3) 国内イベント自粛
(4) ロックダウン(都市封鎖)による欧米経済の悪化

これらのうち、今回の短観調査で非製造業の景況感を大きく悪化させたのは、(1)及び(3)の経路である。短観の業種分類では、対個人サービス、宿泊・飲食サービスの2業種に、とりわけ大きな悪影響が表れたと考えられる。他方で、通信、景況感が大企業では悪化せず、中堅企業では改善した背景には、ネット利用を拡大させる、いわゆる「巣ごもり消費」の好影響が伺える。

他方、今回の製造業の景況感(現状判断DI)の悪化には、(2)の中国経済の悪化が大きく影響したと見られる。

しかし、情勢は日々目まぐるしく動いており、新型コロナウイルス問題が日本企業、日本経済に与える影響とその経路も常に変化している。

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最終更新:4/1(水) 10:03
NRI研究員の時事解説

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