ここから本文です

相次ぐ新作の公開延期 これから「半年間の空白」がやってくる

4/1(水) 21:16配信

リアルサウンド

 毎週、先週末の動員ランキングや興行成績を紹介している本コラムだが、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう週末の外出自粛要請を受けて、東京都及び近県の主要シネコンチェーンを中心に多くの映画館が週末は休業に。この状況は今週末以降も継続する見込みで、ランキングも数字もほとんど意味をなさない回が続くことになりそうだ。情報の提供を受けている興行通信社も、今週は週末のランキングこそ発表しているものの、興行成績については具体的な数字の発表を控えている。

【写真】『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』ではシリーズの立役者ハンが復活

 先週末の動員ランキング1位は公開2週目の『一度死んでみた』、2位はこちらも公開2週目の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』。いずれも興収は5000万円以下という非常に厳しい数字で、動員では2位の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が興収では『一度死んでみた』を僅かに上回った。3月29日までの10日間の累計で、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は興収3億8911万6100円、『一度死んでみた』は興収3億500万円。この数字を見れば、日本映画、外国映画問わず、公開延期の発表が現在相次いでいるのは仕方がないことだ。

 現在までに公開延期が発表されている作品で、新たな公開時期が決まっているのは下記の作品。

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(3月6日から8月7日公開に変更)
『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』(3月20日から5月16日公開に変更)
『モルエラニの霧の中』(3月21日から2021年2月6日公開に変更)
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(3月27日から初夏公開に変更)
『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』(3月28日から4月25日公開に変更)
『死霊魂』(4月4日から6月27日公開に変更)
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(4月10日から11月20日公開に変更)
『大海原のソングライン』(4月下旬から5月下旬公開に変更)

 これらの作品はまだ公開日や公開時期が発表されている(『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』の4月25日という新しい公開日はかなり楽観的な予測に基づいたものだと思えるが)からまだいいが、その何倍もの作品が社内や他社との他作品との調整や興業サイドのスケジュールの問題もあって「公開日未定」のままとなっている。3月13日にいち早く『ワイルド・スピード/ジェット・ブレイク』(5月22日全米公開から2021年4月2日全米公開に変更。日本の公開日は未定)が約1年の公開延期を発表した時はかなり思いきった判断をしたと思ったが、それから3週間近く経って、現在のアメリカやヨーロッパ各国での新型コロナウイルス拡大の状況を見ると、それが妥当な判断だったとさえ思えてくる。公開延期となった作品だけでなく、アメリカでは現状ほぼすべての映画(だけでなく多くの映画監督や役者が関わっているテレビシリーズも)の撮影が止まっているので、今回のコロナウイルスの影響が及ぶのは1年どころではない。仮に半年後に興行が正常化したとしても、今後は公開作品の渋滞、劇場公開を経ずにストリーミングでのリリース(アメリカでは既に多くの作品がその手段を選んでいる)、長期的には撮影延期にともなう作品不足、場合によっては作品の製作中止や製作会社の倒産もあり得る状況だ。

 日本国内でも、先週まで多くの映画会社がマスコミ向けの試写をおこなっていたが、今週に入ってから試写の中止が相次いでいる。現在も予定されていた試写の半分程度はおこなわれているが、水面下では予定されていた試写のスケジュールを発表しないまま中止となっている作品も数多くある。いずれにせよ、今回の新型コロナウイルスによって、作品公開、宣伝、製作のあらゆる面において(少なくとも)半年間ほどの空白が生じるのは決定的。そして、その期間を経た後の映画界は、かつての映画界とは別のものとなっているだろう。

宇野維正

最終更新:4/1(水) 21:16
リアルサウンド

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事