ここから本文です

甲子園ではスタンドから応援。「元補欠」 育成5位が巨人一軍を目指す

4/1(水) 6:10配信

webスポルティーバ

【強豪校で「その他大勢」の選手に】

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、練習試合として行なわれた3月24日の中日ドラゴンズ戦。読売ジャイアンツの一番・センターとしてスタメン出場した選手のことをどれくらいの野球ファンが知っているだろうか。

【写真】岡本和真、自身に手応え。昨年との違い、丸と坂本の存在についても語った

 松原聖弥、25歳、背番号59。

 仙台育英(宮城)出身だが、甲子園でプレーした経験はない。2016年ドラフト会議で育成5位指名を受けて入団。身長173cm、体重72kgという体格はチームの中では目立たない。しかし、スター揃いのジャイアンツの中で、躍進が期待される若手のひとりだ。  仙台育英では、福岡ソフトバンクホークスの上林誠知(うえばやし・せいじ)、阪神タイガースの馬場皐輔(ばば・こうすけ)、熊谷敬宥(くまがい・たかひろ)の1年先輩だった。チームは3年夏の甲子園に出場して2勝を挙げたが、松原はベンチ入りメンバーから漏れ、アルプススタンドから仲間を応援することしかできなかった。

 松原は高校時代のことを、書籍『レギュラーになれないきみへ』(岩波ジュニア新書)の中でこう語っている。

「甲子園に出るために、仙台育英に入りました。中学時代は硬式の強豪と言われるチームにいて、猛練習が当たり前という感じで。でも、仙台育英は選手の自主性重視なので、サボろうと思えばいくらでもサボることができる。僕の場合、楽なほうへ楽なほうへと行く性格だったので......まわりの選手との差がどんどんついてしまったような気がします」

学校の授業が始まる前の朝練習は、参加を強制されることはない。やりたければやる、やりたくない選手はギリギリまで寝ていてもいい。

「でも、やる選手は毎日、ちゃんと起きて練習する。僕は全然、行きませんでした。全体練習のあともそう。居残り練習も強制じゃないので、早く上がっても問題ない。『高校野球の練習はこんなに楽でいいのか』と思いました」

 強豪校にありがちな厳しい上下関係もない。穏やかな空気の中で、松原はいつの間にか「その他大勢」の選手になっていた。

「練習する選手が伸びて、しなかった僕はそうではなかった。一学年下の上林は入学した時からすごかったですね。毎日、朝練習に行くし、自分で考えた練習をする。金属バットではなく木製を使っていましたから。高校の時から、プロを意識していたんじゃないでしょうか。僕はただただ、『すごいな』と思って見ていました(笑)」  【大学で野球を楽しみながら成長】

 もちろん、松原にチャンスがなかったわけではない。3年生が抜けて新チームになった2年生の秋、ベンチ入りメンバーに選ばれたが、イップスを発症したせいで戦力にならなかった。

「2年の秋の大会は、背番号はふたケタでしたけど、試合に出ていました。でも、送球ができなくなって、どんどん自信をなくしていきました。バッティングも走塁も縮こまってしまって......。最後の夏の大会もメンバーから外れてしまいました。メンバー外が決まったあとは、試合に出る選手のサポートに徹しました」

1/3ページ

最終更新:4/1(水) 6:10
webスポルティーバ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事