大好きな歌がたくさんある薬師丸ひろ子さんのコンサートに行ったのは、2018年2月のことでした。
オープニングで「お仕事や介護などお忙しい中のご来場」への感謝を薬師丸さんが語るのを聞き、ああこの空間は同年代に包まれているのだなあと思ったものです。
2020年になり、「SONGS」(NHK)に薬師丸さんが出ました。最後に歌ったのは「アナタノコトバ」でした。18年5月に出したアルバムに納められた歌だそうで、初めて聞くものでした。作詞は薬師丸さん。「生きていく上で、ちょっと背中を押してくれるような」歌だと、確かそんな説明を自らしていました。
それで思い出したのが、竹内まりやさんの「人生の扉」です。07年に発表され、作詞作曲ともに竹内さん。私は19年に知りました。竹内さんのデビュー40周年にあたるその年、竹内さんの特別番組を見たのです。そこで竹内さんは年齢を重ねることについて語り、「人生の扉」を歌いました。
サビは「I say it’s fun to be 20 You say it’s great to be 30」から始まり、40歳はlovely、50歳はnice、60歳はfine、70歳はall right、80歳はstill good、90歳もmaybe liveと予測します。そして、弱っていくことはsad、年を取るのはhard、人生はno meaningって言うけれど、と歌い、こう締めくくるのです。
「But I still believe it’s worth living」
人生への応援歌です。ほろ苦さがあるけれど、おしゃれです。薬師丸さんが「生きていく上で、ちょっと背中を押してくれるような」歌だと言っているのを聞き、すぐにこの歌を思い出しました。
一方、薬師丸さんの「アナタノコトバ」は、こう始まりました。「ああ 母のアイロン スチームの匂い 思い出した ああ 夕餉どきの暖かい窓 私はいた」。どうやら「アナタ」は母のようです。では「コトバ」は何でしょうか。「良く生きよう」という言葉が繰り返されます。
薬師丸さんの高い声が、「明日につながる今日を良く生きよう」「争いのない世界なんてない。それでも今日を良く生きよう」と歌っていました。「良く生きよう」とはつまり「いつまでも前向きにいきましょう」。そういうことだと理解しました。
薬師丸さんも、人生を重ねた人を励ましてくれていました。竹内さんが「ほろ苦&おしゃれ」だとしたら、薬師丸さんは「ほろ苦&郷愁」でしょうか。どちらも「シニア心」をわかってるなーと思います。
だって年齢を重ねるとは、思考を重ねるということです。そして、衰えを日々実感することです。「年を取るって素敵よ」とただ言われても、すぐにうなずくほど単純ではありません。だからといってありのままを見せられても、それはそれで楽しいものではありません。だから2人が「ほろ苦」に「おしゃれ」や「郷愁」を足してくれると、心に励ましが入りやすくなる。そんな仕掛けだと思います。
最終更新:4/5(日) 19:00
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