世の中は、職業、所得、地域などによって多数の社会階層に分けられています。「ソーシャル・モビリティ」とは、これらの「社会階層間の変化」のことで、低所得層に属する個人や家族などが、中所得以上の層に移行するのがその一例です。日本語では、「社会的流動性」や「社会移動」とも訳されます。
しかし、世界の現状を見ると、低所得層にいる人々がほとんど出世できず、一方の富裕層は財産を維持し続ける傾向が強まっています。ソーシャル・モビリティの指数が高い国ほど、生まれた階級から脱却しやすく、その国に自由や平等がある状態とみなされます。
ソーシャル・モビリティは、2020年から世界的に調査が始まった指標です。経済的な不平等が世界で拡大していることから、世界経済フォーラム(WEF)が新たに作成しました。
OECDは世界的に、最下層の「粘着力のある床」と最上層の「粘着力のある天井」があるとしています。中所得層は、常に低所得層や貧困層への転落のリスクにさらされている一方で、最下層と最上層の流動性が特に低くなっているのです。
そのためソーシャル・モビリティは、社会や経済、あるいは個人にとって大きな問題といえます。人々の能力が開発されていなければ、あるいは開発されていてもそれを発揮する機会がなければ、その能力が見過ごされてしまうからです。
2020年の調査において、日本のソーシャル・モビリティは対象の82ヵ国中15位でした。1位はデンマーク、2位はノルウェー、3位はフィンランドと北欧諸国が上位を占めました。韓国が25位、米国は27位、中国が45位と続き、新興国ではインドが76位、南アフリカ共和国が77位でした。
ソーシャル・モビリティの評価は、次の10の要素から決まります。健康、教育へのアクセス、平等・公正な教育、生涯学習、テクノロジーへのアクセス、労働機会、労働条件、公正な賃金、社会的保護、そしてインクルーシブな制度。
日本の場合、「健康」の項目が3位と、どのような環境に生まれても健康へのアクセスが良好であることを示す一方、「平等・公正な教育」が39位、「公正な賃金」が37位、「労働条件」が38位と足をひっぱりました。また日本では、低所得家庭の子どもが平均所得を得られるようになるまでに、4世代分の時間を要すると推定されています。
OECDが考える、日本におけるソーシャル・モビリティの改善策は三つ。(1)労働市場の二重性を縮小して人的資本の流動性を高めること、(2)雇用における男女格差を解消すること、(3)後期中等教育(高校など)において実習を重視した職業教育へと変えていくことを挙げています。
・参考
Social Mobility Report 2020(WEF)
http://reports.weforum.org/social-mobility-report-2020/economy-profiles/?doing_wp_cron=1585188964.5265009403228759765625#economy=JPN
社会階層のエレベータは壊れているのか? 社会的流動性を促進する方法(OECD)
http://www.oecd.org/japan/social-mobility-2018-JPN-JP.PDF
最終更新:4/2(木) 7:31
日本の人事部





























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