安倍首相は、4月1日の参院決算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けている航空業界は日本経済の基盤インフラだとして、「しっかり支援していきたい」との考えを述べた。
また、麻生財務相は、航空業界の支援では政府系金融機関の政策投資銀行の危機対応業務を活用する、との考えを示している。日本航空(JAL)と全日空(ANA)は、4月に国際線の追加減便を行い、平常時と比べて約85%の減便とすることを明らかにした。
現在、経営状態が悪化して資金繰り問題に直面している航空業界は、手元資金を確保しておくため、大手銀行からの借り入れを検討していると報じられている。民間銀行から十分な資金を借り入れることがこのままでは難しくなってしまう可能性が意識されたことで、政府は政策投資銀行の危機対応業務(日本政策金融公庫からのリスク補完等を受け、危機の被害に対処するために必要な資金を供給する業務)の活用を検討し始めたのではないか。
しかし、航空業界は当面の資金繰り対策はできても、利用客が大幅に減る下で赤字状態が続けば、いずれ深刻な資本不足に陥ることになる。それを回避するには、政府が財政資金を用いて資本を増強する、公的支援が必要になってくる可能性がある。
そうした公的支援の対象となり得るのは、航空業界には限らない可能性がある。宿泊業、飲食関連、小売業の一部などでは、大企業の業況も急速に悪化している。さらに、欧米でロックダウン(都市封鎖)が広がる中、現地での工場閉鎖や現地向け輸出の急激な悪化から、日本の輸出型大企業、グローバル企業も、この公的支援を受ける可能性がいずれ出てこないとも限らない。
政府は、緊急経済対策の第1弾、第2弾では、新型コロナウイルス問題で大きな打撃を受けた中小・零細企業向けに、政府系金融機関による低利あるいは実質無利子融資を打ち出した。さらに、向こう1週間程度で政府がまとめる大規模経済対策の中には、中小企業向けに財政資金を投入する給付金制度が盛り込まれる見込みだ。
しかし、中小・零細企業の救済の場合には、雇用を守る、あるいは弱者救済という大義名分のもとで、国民の理解は比較的得やすい。しかし、国民の税金を用いて大企業を救済する場合には、国民の理解がより得にくい面もあり、政策としてはより難度が高まるだろう。
政府の新型コロナウイルス対策は、そうした新たな局面に入りつつあるのではないか。
最終更新:4/2(木) 9:36
NRI研究員の時事解説































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