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あの『ドミノ』がますますクレイジーに、カオスに、パワーアップしてかえって来た!『ドミノin上海』

4/2(木) 12:00配信

Book Bang

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(評者:タカザワケンジ / 書評家)

 今度は上海だ! 

 恩田陸の人気作『ドミノ』の、なんと19年ぶりの続編である。

『ドミノ』とはどんな小説なのか。まだお読みでない方のために簡単に説明しておこう。毎日大勢の人たちが行き交う東京駅。そこにまったく無関係の人たちが、ほんのちょっとした偶然から関わり合い、最初はこぶし大ほどだったトラブルが雪だるま式にどんどん膨らみ、果ては東京駅が……という事態に陥るパニック小説である。タイトルの『ドミノ』とはドミノ倒しのドミノであり、次々と連鎖反応が起きていく物語そのものである。

 一般的に傑作の続編は難しい。たいていは「1」のほうがよかった、といわれがちだ。映画ではとくにその傾向が強く、例外は『ゴッドファーザー PART2』くらいではないかと長くいわれていた。

 しかし、その定説をくつがえした映画監督がいる。『ターミネーター2』と『エイリアン2』で前作を上回る評価を得たジェームズ・キャメロンである。この2作に共通する成功のキーワードは「増量」だ。キャメロン自身が低予算でつくった『ターミネーター』は続篇の予算が飛躍的に増えたため、スケールアップが比較的たやすかったかも知れないが、『エイリアン』は名匠リドリー・スコットが監督し、公開当時から名作の誉れ高かった。まだキャリアが浅かったキャメロンにとって「2」の監督をするのは大きなプレッシャーだったはずだ。しかし「1」では1匹だったエイリアンを「2」では大量に出すという方法で乗り越えた。日本版のポスターが「今度は戦争だ!」だったのは、「1」と「2」の違いを端的に示している。前作はSFホラーだったが、2ではそこにアクションを加え規模を拡大したのだ。

 『ドミノin 上海』もまず前作を物量で上回っている。東京(当時の人口約1200万人)から上海(人口約2400万人)へと舞台を移し、単行本のページ数は340ページから568ページへと増量している。登場人物は27人と1匹から25人と3匹へとトータルでは増減なしだが、ポイントは動物が増えていること。それも中国といえばこの動物──そう、パンダ! ──が主要登場「動物」の1頭として活躍する。ご臨終された動物もいて、霊になったことでその行動範囲が空中に広がっている。

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最終更新:4/8(水) 11:10
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