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東京五輪1年延期、その根拠は何なのか/廣岡達朗コラム

4/3(金) 11:01配信

週刊ベースボールONLINE

行き過ぎた資本主義への警鐘

 東京オリンピックの1年間延期が決まった。一方、プロ野球は4月24日の開幕を目指すという。

廣岡達朗コラム「新型コロナ、ピンチをチャンスに変えろ」

 私が問いかけたいのは、その根拠は何かということだ。オリンピックに関しては、1年たてば新型コロナウイルス問題は下火になるのか。いま感染者を治せていないのに1年後に治せるというのは他力本願に過ぎない。医者の能力のなさを証明しているようなものだ。

 医者はいまこそ正しい生活、食事をしなさいと言うべきだ。野球も一緒である。「こうすればうまくなる。だから俺の言うことを聞け」と言える覚悟がある監督、コーチがいない。指導者が勉強していない証拠だ。

 いまウイルスが蔓延しているのは、行き過ぎた資本主義への警鐘であり、自然に帰れというメッセージだと私は考えている。「行き過ぎた資本主義」というのは贅沢であり、欲望だ。

 人間というのは、若いうちは少々ムチャな食生活をしても体が消化してくれる。それが、年を取るにつれて、どんどん抵抗力が衰えていく。自然の原理に抗ってはいけない。にもかかわらず年を取っても若いころのように贅沢を続けるから、それは違うと病気が教えてくれるのだ。病気にならないためには、どういう生活をして、どういう考え方をすべきかと想像を巡らせる必要がある。

 具体的には、太陽光線を浴び、土や水を大事にすることが大切だ。本質を見ずに、現代社会は金儲けを最優先にしてきた。野球にたとえれば人工芝球場である。雨風に強い人工芝は確かに都合がいい。しかし、私が土のグラウンドにすべきだというのは、それが体にいいからだ。

 おいしいものをたくさん食べたら元気になるというのも間違い。空腹と食欲は違う。本当に腹が減ったら、こんなの食べられるかというものまでおいしく感じられる。それこそが正しい食生活である。

明るい未来を開くには?

 もうひとつ今回のコロナ問題で大切なのは、暗示にかからないことだ。健康な人間でも、「顔色が悪い」「薬を飲め。そうじゃないと死ぬ」と周りから言われ続けたらまいってしまう。逆に、病気にかかっても「それは病気じゃない。気楽に寝ていれば治る」と言われればそうかと思って本当に治るケースもある。五臓六腑には意思がない。五臓六腑を動かしているのは神経系統だ。その神経系統の“親分”が心なのだ。考え方ひとつ。なんであろうとプラス思考を持ったほうが得なのだ。ところが、ワイドショーを見ていると私までコロナに感染したような気分になってしまう。

 私は大腸ポリープに2年おきにかかった時期があった。その原因は自分が作っているのだと考え方を改め、こうすべきだという方向に治していった。酒もやめた。

 人工芝がなかった時代、阪神の吉田義男と三宅秀史はシートノック一つで観客を魅了していた。シートノック見たさにお客さんが試合前から球場に足を運んだ。それがプロ。どうしたら本物になるかということを教える人間がいたら、もっと高いレベルの野球が可能になるのだ。

 金儲け、楽をしたいと思うのが人間の本能だが、やるべきことをやらないと明るい未来は開けないということを、私は訴え続けていく

『週刊ベースボール』2020年4月13日号(4月1日発売)より

●廣岡達朗(ひろおか・たつろう)
1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。

写真=BBM

週刊ベースボール

最終更新:4/12(日) 10:45
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