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独裁政権下のスーダンで4人の老人が映画館復興に向けて動き出す──映画『ようこそ、革命シネマへ』

4/3(金) 20:38配信

GQ JAPAN

2019年の第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門でドキュメンタリー賞と観客賞を受賞した映画、『ようこそ、革命シネマへ』の見どころとは?

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スーダンに、ふたたび映画を

2015年のとある夜、スーダンの首都ハルツーム近郊で、年配の男4人が不思議なことを始める。ひとりが青いショールを顔周りと肩に巻き、歌舞伎の女形のようなしなを作ると、別のひとりが撮影用のライトをつける。仲間たちが見守るなか、青いショールの男は英語をしゃべりはじめる--デミル監督、準備ができたわ。ビリー・ワイルダー監督の代表作のひとつ、『サンセット大通り』(1950)のラストシーンだ。ここで青いショールの男が演じているのはサイレント映画時代の忘れられたスター女優、ノーマ・デズモンド(ワイルダーの映画ではグロリア・スワンソンが演じた)。狂気に陥ってしまったノーマは、殺人事件の取材に詰めかけた報道陣のカメラを見て、カムバック作の撮影が始まったと思いこむ。ノーマ=青いショールの男は言う。デミル監督、わたしたちこれから、どんどん新作を作れるのね。

この男たちが何者であるか、『ようこそ、革命シネマへ』のファーストシーンであるこの時点では、まだ観る者にはわからない。にもかかわらずこのくだりには、理由もわからぬまま胸に迫ってくるものがある。そして彼らの正体がわかったとき、いよいよこのシーンは重大な意味を帯びることになる。彼らは1960年代・70年代に海外で映画製作を学び、国際的にも作品を評価された映画人(作品の断片も本作のなかで紹介される)だった。「だった」と書かざるをえないのは、スーダンに軍事独裁政権が成立した1989年、映画製作集団でともに活動していた4人は、思想犯として逮捕されたり、亡命を余儀なくされたりするなどしてばらばらになると同時に、映画作りができなくなってしまったからだ。そしていま、再会した彼らは、映画産業が壊滅してしまったスーダンで、再び映画館を立ち上げようとしているのである。

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最終更新:4/3(金) 20:38
GQ JAPAN

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