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「おかしい…」父が遺した貯金通帳、長女が覚えた違和感の正体

4/3(金) 9:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、相続人の父が遺した貯金通帳にまつわるトラブルを、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

仕事にプライベートに…成功をおさめた社長を襲う悲劇

北関東のある街に住むAさんは、高校を卒業後、建築会社に就職。学校の成績は優秀で、周囲は当然大学に進学するものだと思っていたらしく、就職という決断に対し、何度も大学を受験するよう説得されたそうです。しかし母子家庭で育ったAさんは、できるだけ早くひとりだちし、苦労をかけた母を楽をさせてあげたいと考えての決断でした。

同世代の同僚は、まだまだやんちゃ盛り。しかし、Aさんはとにかく真面目に、実直に仕事をこなし、同期の誰よりも、そして大卒で入社してきた人たちよりも早く、出世をしていきました。

そんなAさんは、30歳のときに独立します。会社からは何度も引き留めにあったそうです。「ちょうど、母が亡くなったんです。苦労をかけた分、親孝行はできたかなと。だからこれから先は、自分のしたかったことをやろうと思ったんです」とAさん。自分でビジネスを起こすことは、長年の夢でした。

ちょうどそのころ、Aさんは人生の伴侶をえます。そして2男1女(長男、次男、長女)にも恵まれました。会社も家庭も、順風満帆なAさん。長男はやがてAさんの跡取りとして、Aさんの会社に入社。長男もAさんに似て、真面目で実直な性格で、入社から数年後にはAさんをサポートする右腕的存在になりました。

「長男は、私なんかよりもずっと優秀で。安心して会社を任せることができますよ」

経営者が集まる会合で、Aさんはよく、そう自慢をしていました。そしてAさんは還暦を迎え、長男も30歳となり、そろそろ長男に会社を譲る準備を始めようとしていたころ、突然の悲劇がAさんを襲います。心筋梗塞で倒れ、救急搬送されたのです。意識が戻るかどうかは五分五分、という状況でした。

社長のいち大事に混乱する会社。長男が先頭に立ち、社長不在の穴を埋めようとしました。また母に代わり、泊まり込みで父を見舞ったのは長女でした。「仕事場と病院の往復は大変でしたけど、母は動揺していて、見ていられなくて」と笑う長女。出張の多い次男も、時間の都合がつけば、病院にかけつけました。家族全員で、Aさんの回復を祈り、奔走したのです。

しかしその祈りは、天に通じることはありませんでした。3ヵ月後、Aさんは静かに息を引き取りました。

「お父さん、3ヵ月もよく頑張ったね」

Aさんのために奔走した時間があったからでしょうか、家族はAさんを静かに見送ることができたそうです。しかし家族の混乱は、このあとのことでした。

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最終更新:5/28(木) 15:00
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