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「水」=<コモン>の管理から考える持続可能な社会をつくる方法とは? 斎藤幸平×岸本聡子<対談>【前編】

4/3(金) 6:00配信

週プレNEWS

老若男女や貧富を問わず、われわれが生きていくのに必要不可欠な「水」。あまねく人々が平等に水資源を使えるように、つまり資本主義の暴走からこの大事な公共財を守るために私たちはいかにして意思決定し、動いていくべきなのだろうか?

共著者として名を連ねた新書『未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?』がロングセラーを記録している、新進気鋭の若き経済思想家・斎藤幸平氏と、3月に刊行した著書『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』が話題の、政策シンクタンクNGOの研究員である岸本聡子氏が、世界各国の<コモン>を守る社会運動を紹介しながら、サステナブルな社会をつくっていくビジョンと可能性について語り合った対談の前編を配信する。



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■水から始まるクリエイティブな社会運動
斎藤 半年ほど前に『未来への大分岐』(集英社新書)という本を出し、5万部を超えるほど、たくさんの人に読んでもらったのですが、読者からの反響がもっとも大きかったのが、欧米の政治において、社会運動がいかに影響力をもっているかというポイントと、みんなの共用財・公共財<コモン>を広げていこうという提案でした。

岸本 私も読ませていただいて、とくに今、おっしゃった<コモン>の部分がものすごく楽しくて。おおいに刺激を受けたし、充実した内容を日本語で読める贅沢を堪能しました。

斎藤 ありがとうございます。私もベルリンに長く住んでいたので、反原発運動や労働運動のような欧州の社会運動については多少、関わりがありました。とはいえ、私はマルクス研究者で理論が専門です。『未来への大分岐』でも、現場の動きを紹介するところまではできませんでした。そのせいで、<コモン>を守り、広げていく実践がどういったものになるのか、少しイメージしにくいところがあったかもしれません。

それに対して、岸本さんは、アムステルダムにある政策NGOに籍を置き、水道の民営化が引き起こす問題を分析しながら、欧州各地で巻き起こる水道再公営化の運動の中心にいます。世界各地で運動する人々を結び付け、欧州全体の民主主義を元気にしている一人と言っていいくらいです。

その岸本さんの新著『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書)では、社会運動の現場を詳細に描き、人々の実践がどれほど政治を変えてきたかを紹介しています。この現場の話が滅法、面白い。『未来への大分岐』で私が念頭に置いていたことが、具体的事例として、展開されています。

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最終更新:4/6(月) 7:09
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