ここから本文です

眠りの質を見える化「スリープテックビジネス」最前線 自動運転ベッド、寝室環境チェック、社員の睡眠管理

4/4(土) 21:00配信

朝日新聞デジタル&[アンド]

「春眠暁を覚えず」という言葉があるように、古来、春は眠気をさそわれやすい季節とされる。しかし、現代においては、睡眠に対して悩みを抱える人は多い。2018年に国が行った「国民健康・栄養調査」では、成人のおよそ4割が6時間未満の睡眠しか取っていない。どうすれば眠りの質を高められるのか。その助けになることを目指しているのが眠りに関わるテクノロジー「スリープテック」(眠り+テクノロジーの造語)だ。

2010年代初めごろから盛り上がり始めた「スリープテック」は、センサーで睡眠中の様々なデータを計測し、そのデータをもとにITやAIなどを組み合わせてソリューションをうみだす。これまでは当人が「よく眠れた」「すっきり目覚めることが出来た」といった形で主観的に判断するしかなかった「眠り」を、客観的に分析することを可能にするものだ。

「スリープテック」の市場規模は拡大の一途をたどっており、今年、米ネバダ州ラスベガスで開催される電子機器の見本市「CES」でも専用エリアが設けられ、50社以上が関連の展示をするほど。国内でも家電メーカー、通信会社、寝具メーカー、スタートアップなど様々なプレーヤーが参入している。

眠りについて悩む人に参考にしてもらうべく、国内の企業が手がける「スリープテック」をいくつか紹介したい。

眠りやすく、目覚めやすい「眠りの自動運転」

寝具メーカー「パラマウントベッド」(東京都江東区)は、医療や介護分野でのビジネスで獲得したノウハウを詰め込んだ高性能自動運転ベッド「アクティブスリープ」を展開している。

特徴はスマートフォンでベッドの動きを操作できること。専用アプリケーションから「リラックス」「腰楽」「足楽」と好みを選択するだけで、ベッドの背中や足の部分の高さが変化する。またベッドの角度を1度刻みでカスタマイズして、お気に入りの姿勢を「じぶんポジション」として記憶させておくこともできる。

同社は、リラックスできて寝付きやすい「入眠姿勢」を最も重要視しているそうだ。理想の角度にマットレスを調整すると、全身に荷重を分散して背中や腰への負担が軽くなり、胸腔(きょうくう)を広げることで呼吸を楽にしてくれるという。同社の研究機関「睡眠研究所」の主幹研究員の椎野俊秀さんは次のように語る。

「ベッドの形を調節することで、寝心地の良さの向上を狙います。このベッドを使うことで睡眠効率の向上や中途覚醒の減少、『眠気(ねむけ)』が改善されることなどを示唆する研究結果も出ています」(椎野さん)

このベッドには、ユーザーの睡眠状況にあわせて形を変化させる「自動運転」機能もある。背中の曲線にぴったりフィットする「入眠姿勢」のままでは寝返りがしにくい。そこで、この自動運転ベッドは、ユーザーが充分に眠りに入ったと判断すると、睡眠状態や心拍数を確認しながら寝返りが打ちやすいフラットな状態になるまで、ゆっくりと形状を変化させるのだ。

さらにアプリで起床時刻を設定しておけば、指定した時間の30分ほど前から眠りの浅いタイミングで背中が徐々に起き上がり、ストレスの少ない目覚めを促してくれる。入眠、睡眠、起床までを、ベッドがサポートしてくれる。

1/3ページ

最終更新:4/4(土) 21:00
朝日新聞デジタル&[アンド]

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事