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「水」=<コモン>の管理から考える持続可能な社会をつくる方法とは? 斎藤幸平×岸本聡子<対談>【後編】

4/4(土) 6:00配信

週プレNEWS

老若男女や貧富を問わず、われわれが生きていくのに必要不可欠な「水」。あまねく人々が平等に水資源を使えるように、つまり資本主義の暴走からこの大事な公共財を守るために私たちはいかにして意思決定し、動いていくべきなのだろうか?

先に配信した【前編】に引き続き、共著者として名を連ねた新書『未来への大分岐 資本主義の終わりか、人間の終焉か?』がロングセラーを記録している、新進気鋭の若き経済思想家・斎藤幸平氏と、3月に刊行した著書『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』が話題の、政策シンクタンクNGOの研究員である岸本聡子氏が、世界各国の<コモン>を守る社会運動を紹介しながら、サステナブルな社会をつくっていくビジョンと可能性について語り合った対談の【後編】を配信する。



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■地域政党まで生み出した水の運動
斎藤 私が岸本さんに聞きたかったのは、なぜ欧州ではこれほど社会運動が盛んなのかということです。岸本さんの『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書)で紹介されている例で言うと、スペインのバルセロナ市がすごい。水道の再公営化を求める市民運動から地域政党「バルセロナ・イン・コモン」が誕生し、市長を二期連続して擁立することに成功しています。この市民運動には若者もたくさん参加しています。

しかし、日本では、社会運動はなかなか盛り上がりません。この違いはどこからくると考えていますか。

岸本 バルセロナに関して言うと、スペインは1970年代までフランコによる独裁体制が敷かれていたので、「放っておいたら、また民主主義が失われてしまう」という恐怖心が若い人たちの間でも共有されています。これは韓国や香港にも当てはまることだと思います。それが日本との大きな違いです。

またEUの財政規律のせいで、金融危機・長期停滞に対応できない緊縮財政が続いています。その結果、若い人たちの失業率が40%に達したこともある。そのため、「国家もEUも自分たちを助けてくれない」、「自分たちが動かなければならない」と、社会運動への機運が高まったのです。

そんな中で、水道料金の高騰が重なった。そうなれば、立ち上がって抗議をするしかない。若者たちが草の根から新しい組織を立ち上げ、広場やストリートで誰でも参加できるような運動を始めたのです。さらに、電力や住宅問題に取り組む人々も、バルセロナでは運動を支え、水道再公営化をめざす地域政党誕生への道筋をひらきました。

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最終更新:4/4(土) 6:00
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